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米山 輝一 米山 輝一
INTERVIEW

オートモーティブ事業本部
基幹システム開発部

米山 輝一
Teruhito Yoneyama

楽器メーカー出身エンジニアが語る
DeNAオートモーティブの“サービスありきのモノ作り”の心地良さ

ソフトウェア開発がメインのDeNAにおいて、オートモーティブ事業は異色とも言えます。車や機器などの「モノ」や「ハードウェア」と向き合っているからです。実際、メンバーの中にはハードウェアを作るエンジニアもいます。

基幹システム開発部の米山 輝一(よねやま・てるひと)さんは、まさにそのハードウェア開発や調整を行うエンジニアメンバー。楽器メーカーから転職した彼は、今の仕事に「モノづくりのあるべき姿」を見ていると言います。そして「エンジニア人生の理想を叶える仕事」とも。異色のキャリアを振り返りながら、その意味を聞きました。

米山 輝一

飛び込みで電撃移籍…。唯一無二のキャリアを追う

ーーまずは米山さんのキャリアを教えてください。

2003年に、新卒のWEBエンジニアとして楽器メーカーに入りました。その頃は、楽器をネットにつなぐサービスが盛んに導入された時期で、私も電子楽器とネットを直接つなぎ、楽器から音楽データを買えるサービスなどの開発に関わっていました。

その後は、モバイル系の部署に移って、当時全盛だったフィーチャーフォンの着メロや着うたの配信プラットフォームの開発リーダーをしていました。2012年まで働き、DeNAへと転職しました。

ーーDeNAへ転職した理由は?

フィーチャーフォンの時代はキャリア主導の垂直統合の世界で、どこか窮屈さを感じつつサービスを開発していましたが、Androidが登場してから、誰もが携帯電話の上で自由にアプリを作れるオープンな時代を感じて、大げさでなく「世界が変わる」と思いました。自分でも着メロデータをそのままスマートフォン上で再生できるアプリを作って、ソリューションビジネスとして展開するようなことをやっていたのですが、やはりハードウェアを売るのがメインの会社なので、サービス化するのにかなり苦労した覚えがあります。

この辺りから、「アプリやサービスをちゃんと開発したい」という気持ちが強くなり、「今、アプリやサービスの開発で一番進んでいるところはどこだろう」と探して、DeNAに行き着いたんです。入社後は、Androidエンジニアとしてエンタメ系アプリなどを担当しました。

ーーアプリ開発をしたいという望みが叶ったわけですね。

ただ、しばらくして別の部署へ行くことになります。それが、当時立ち上がったばかりの『SHOWROOM』というライブストリーミングサービスでした。

ーーいわゆる映像配信事業ですよね。エンジニアとはまったく違うジャンルですが。

実はちょっとした経緯がありまして。SHOWROOMの正式サービスをスタートする前、「第0回配信」として、社員向けにクローズドで実際にアイドルを呼んでライブ配信を初めて行ったんです。ただ、当時のDeNAには番組制作のノウハウに長けた人は決して多くありませんでした。僕は、イチ社員として配信を見ていたのですが、マイクの立て方やカメラの扱い方などが気になってしまったんです。

楽器メーカーにいた頃、業務用機器にはそれなりに触れていましたし、高校時代にも放送部で実際に番組制作などをしていました。それで、いてもたってもいられなくなって(笑)。その場で上司に「僕わかるんで直してきていいですか」と言って配信現場に入って、ついでに配信終了まで技術周りを担当したんです。すると、翌週に上司に呼ばれて「今日からSHOWROOMチームに来てくれ」と言われて…。電撃移籍のような形でした。

それから、2017年7月までSHOWROOMで制作技術グループリーダー兼プロダクトオーナーとして仕事をしました。番組やオーディション企画を担当することもありましたし、横浜DeNAベイスターズの試合中継などの大規模配信の技術ディレクションをしたり、アイドルのライブ中継で映像のスイッチングをしたり、SHOWROOMのサービス自体の新機能を考えたり、幅広く担当しました。その後、オートモーティブ事業本部に異動しました。

みずから志願してオートモーティブ事業へ。電撃移籍の第2弾とは

ーーオートモーティブ事業に異動したのはどんな経緯だったのですか。

これもちょっと変わっていて(笑)。オートモーティブ事業が2015年に立ち上がったとき、興味自体はあったのですが、会社として本気でこの事業をやろうとしているのか、僕は半信半疑だったんです。実家が自動車の整備工場を営んでいるので、いつかは自動車業界に行きたいとは思っていましたが、SHOWROOMもやりがいをもって仕事をしてましたし、実際にアクションを取ることはしませんでした。

それから2年以上経った2017年の6月に、社内の各事業について事業本部長がプレゼンをする全社会議がありました。これは「シェイクハンズ制度」という社内人事制度(※一定の条件において、本人と異動先部署の意志が合致すれば、最適な部署異動が実現する制度)の説明の一環として開催されたんですが、その時のオートモーティブ事業のプレゼンを聞いて、グサグサと心に刺さったんですよね。

ーーどんなところが刺さったのでしょうか。

一般的に事業を拡大するときには、国内の事業を海外に展開して拡大していくという流れがごく普通のことだと思うんですが、そのプレゼンには「日本は課題先進国なんだ」という話があって「今、日本の課題を解決することが、世界の課題を解決することに直結するんだ」というメッセージがすごく心に残りました。あわせて、事業に対する本気度も伝わってきました。

また、自動車業界もITが不可欠な状態になって、まさに「自動車業界がIT業界に歩み寄ってきたな」と。自動車業界ってすごくかっこいいなと思いました。

それで、プレゼンの直後に「異動させてください」と事業部長に言ったんです。忘れられないように、後でストーカーのような長文メールも送りましたね(笑)。結果、次の週に異動が決まりました。

ーーまたも電撃的な異動ですね。

オートモーティブ事業はDeNAの中でも特殊で、ハードウェアを社内で作るケースが出てきます。たとえば『MOV』というタクシー配車アプリでは、サービス提供のためにタクシーメーターと連動する必要があるのですが、タクシーメーターは15年前のものが普通に動いていたりするので、どうしてもそのままだと今のアーキテクチャ的に扱いにくいことがあります。そこで、その間をつなぐハードウェアが必要になります。ちょうどその人材を探していたのもあったようですね。

楽器メーカーではハードウェアとの連携などにも関わっていましたし、電子工学科出身でハードウェアも多少はやっていたので最低限のノウハウはありました。また、小学生のときはラジコンに没頭していて、全国大会で3位になったこともあるくらいハードウェアいじりは昔からやっていました。最近もまたラジコンをはじめたのですが、ラップタイムを計るための計測器を電子工作で自作したりしていました。たまたまそんな話をしたら、気に入られたようです(笑)。まさにハードウェアだと。

実際、今はMOVのハードウェアを選定・開発したりするチームで働いています。

米山 輝一

DeNAの「なるべくモノを作らない」スタンスの価値

ーーでは、オートモーティブ事業本部ではMOVのハードウェアにずっと関わっているのですね。

はい。まずはサービス提供に最低限必要なハードウェアの提供に向けて今開発を進めています。その後はよりMOV自体に付加価値をつけるような様々なデバイスを企画・開発中です。

ソフトウェアは数ヶ月後のリリースに向けて作るタイムスケジュールですが、ハードウェアは調達期間も必要なので、つねに1年後に向けたプロジェクトをしているイメージです。これもDeNAでは特殊かもしれません。

ーーキャリアは異色なのですが、結果的にご自身のルーツである自動車分野のモノづくりをしているのが印象的です。

幼い頃からモノ作りは好きで、父親がヘリコプターのラジコンをテーブルに広げていると、隣に小さいテーブルを並べて車のラジコンやミニ四駆をいじっていたらしいです。あまり記憶にないのですが、母親にそう言われたことがあります。

ハードウェアで重要なのは、ユーザーが使う場面でシンプルに「かっこいい」「楽しい」「便利だな」といった体験を与えられるかだと思ってます。難しすぎるものはユーザーと乖離してしまう。そのシンプルな感性というか、わかりやすさを追い求めるところが自分にマッチしていると感じますね。そういう意味でも、いろんなエンジニアにチャンスがあるはずです。

ーーそれが、ハードウェアの醍醐味でもあると。

はい。それとDeNAで面白いのは「モノを作るのが目的じゃない」ことです。通常、メーカーはモノを売るのが前提なので、モノありきで事業が進みます。一方、DeNAはサービスありきで、そのためにモノが必要なら作りますが、必要なければ作りません。見極めは慎重に行います。

僕は、エンジニアにとってDeNAのスタンスは心地よいと思うんですよね。本当に必要だからこそ、モノの開発に努める。その自然な思考をできるのが今の仕事で、だからこそ楽しくやれています。

米山 輝一

人生の最後、「実はこれを作ってたんです」と言いたい

ーーDeNAのオートモーティブ事業は、メーカーなどのアライアンス先と協業するのが基本姿勢ですが、今の話との関連性はどう考えますか?

大前提として、日本のメーカーの技術力は非常に高いです。ただし、メーカーが単独でサービスを作るのは難しい構造があります。日本のメーカーは工場を持っていて、人と設備に投資していますから。それを動かさなければなりません。

それなら、DeNAのような会社がサービスを考えて、その際に必要なモノをメーカーと一緒につくる。そのモデルが一番クオリティを高めますし、win-winを作れるのではないでしょうか。

MOVもそれを地で行っています。まずサービスを考えて、その実現に必要なハードウェアを世の中から探す。どうしても足りないものは自前で作る。そういった体制ですよね。

きっと、メーカー出身者で好きにモノづくりができなかったり、サービスアイデアが浮かんでも事業化できなかったりと悩んだ人は多いと思います。そういう人にとっては、楽しく活躍できるフィールドですし、メーカー時代のノウハウも活かせる業界です。どんどんチャレンジして欲しいですね。

ーーDeNAが交通や自動車の分野に参入する意義はどう考えていますか?

自動車メーカーは、日本の企業の“砦”ですよね。そういった会社とDeNAが連携することで、大きなインパクトを出せるのではないかと思います。この分野こそ、協業によるシナジーを生みやすいのではないでしょうか。

何より、交通はすべての人が直面するもので、サービスの対象となる人やカバレッジがとてつもなく広いですよね。エンジニアの仕事は、たとえ同じシステムを作ったとしても、サービス化する企業や分野、タイミングによってインパクトが変わります。

僕は、自分が死ぬときに「実はこれを作ってたんです」と言って死にたい(笑)。そのとき、なるべく多くの人が「すごいね」と言って、悲しみながら送ってくれれば本望です。

移動はみんなのものですから、オートモーティブの分野なら多くの人が対象のサービスを作れます。しかも、DeNAとメーカーなどの協業体制なら、世の中に与えるインパクトもきっと大きいものになるはずです。自分の理想のエンジニア人生を送れるかもしれません。だからこそ、オートモーティブの分野でそれを叶えたいと思っています。

取材日: 2018年2月16日