FB

MEMBERS

馬場 光 馬場 光
INTERVIEW

オートモーティブ事業本部
カーシェアリンググループ
事業責任者

馬場 光
Hikaru Baba

『Anyca』を最初に使ったときの感動を、お客さまに伝えたい。
『Anyca』のファーストユーザーでもある
プロダクトオーナーが開発で大事にしていることとは

個人間で車をシェアするカーシェアリングサービス『Anyca (エニカ) 』のサービスコンセプトを提案し最初の開発から携わっている馬場光(ばば・ひかる)さん。現在は『Anyca』の事業責任者兼プロダクトオーナーとして活躍し、数万件のレビューは全て目を通しているというほど『Anyca』を愛している馬場さんにサービス開発で大切にしていること、そしてプロダクトオーナーに大事な要素を聞きました。

馬場 光

実装の答えは、エンジニア自身が知っている

ーーもともと、『Anyca』のサービスコンセプトを提案したのは馬場さんだそうですね。

僕は入社2年目に車を購入したんですが、維持費が高いことがずっと悩みで、なんとかしたいなと考えていました。また、当時はシェアリングエコノミーという考え方が徐々に浸透してきたタイミングで、同期と半年ぐらい前から「個人間カーシェアなんて面白そうだね」と話していたんです。

その同期が新規事業を作る部署にいたこともあり、そのまま『Anyca』を作ることになりました。事業案として『Anyca』を提案し、プロジェクトがスタートしたんです。

ーーチーム内で、馬場さんはどのような役割を担っていますか?

「何をするか」「実装の優先度」は僕が、「どう作るか」はリードエンジニアが考える、2名のプロダクトオーナー制を採用しています。さらに言えば「プロダクトの最終アウトプットをどうするか」は、実装を担当する各エンジニアに任せています。

ーー最終アウトプットのイメージに、細かく口出しはしないのですか?

僕はエンジニア出身なんですが、その経験から「どう実装すれば良いプロダクトになるかは、エンジニア自身が一番よく知っている」と思っているんです。

エンジニアは、コーディングの段階でその機能を何回も触ります。そのうえで出した結論は、他のメンバーが頭の中やドキュメントの上で考えたものよりも、絶対に良いものになるはずです。だからこそ、100%信頼してお願いできています。

馬場 光

データ分析から全てが始まる

ーー機能の優先順位はどういった基準で判断していますか?

今はサービス拡大を目指すフェーズなので「機能がお客さまにどれくらいのインパクトを与えられるか」を基準にしています。どの機能がどれくらいの規模のお客さまに影響があり、行動がどう変わるかを重視するという感じです。

ーーインパクトの大きさは、定性面と定量面のどちらで見ているんですか?

定量面ですね。チームのみんなでこだわって開発し、使いやすいアプリをリリースしている前提なので、定性面としては最大限良いものになるように普段から意識しています。そのうえで、定量的なデータを見て改善するんです。

僕たちは『Anyca』のお客さまの行動ログを取得しているんですが、その情報を元に「こういうアクションをしているのは、こういうニーズを持っているからだよね」と分析し、実装すべき機能を決めています。

ーープロダクトオーナーを務める人はデータ分析のスキルもあった方がいいのですね。

そう思います。施策の成功率を高めるうえでも重要ですし、データがあった方が実施後のふり返りもしやすいです。

ーーデータ分析の結果を元に、機能を追加した例などはありますか?

オーナー発行クーポンという機能を作りました。これは、オーナーが車をシェアした後「そのドライバーにまた乗ってほしい」と思ったら、お礼として次回使えるクーポンを送るというものです。

ーーどのようなデータを元に、その機能を実装することを決めましたか?

データを分析してみると「特定の車を何回も使ってくれている人」のサービス利用頻度がとても高かったんです。だから、リピートしてくれる割合を増やすために何をしたらいいだろうと考えて、その機能を実装することにしました。



お客さまに相談して、肌感を取り戻す

ーー定量面だけではなく、定性的な情報を参考にすることもありますか?

『Anyca』ではシェア後に車のオーナーとドライバーがお互いにレビューを書くんですけど、僕はそのレビューも全て目を通しています。数万件くらいあるんですけど。

ーー『Anyca』では「車の撮影会」や「乗りまくりイベント」などリアルイベントを積極的に開催していますよね。そうした場で聞いた意見を、機能に反映させるケースは?

お客さまの生の声を聞かずに開発を続けていると、自分が想定していた仮説とお客さまの行動結果が乖離してくるケースがあります。それはマズくて。自分の感覚がそうなってしまいそうなときは、なるべくイベントに参加します。お客さまに直接「こういう機能を作ろうと思っているんですけど、どう思いますか?」と相談するんです。

『Anyca』を長く利用してくださっている方は、運営スタッフ以上にサービスのことをよく理解しているケースも多い。その方々の持っている感覚を知りたくて、フランクに話しかけています。

もちろん、お客さまが「この車に出会えて良かった」と嬉しそうにしていたり、『Anyca』 をきっかけに友だちになった方々が一緒に盛り上がっているのを見たいからイベントに行く、という面も大きいですけどね。

馬場 光

勇気を持って“引き算”する

ーー今後、半年〜1年先のスパンでやっていきたいことはありますか?

開発チームは明確に決めている目標が1つあります。機能の引き算をすることです。

『Anyca』がリリースされてからずっとPDCAを回して機能を追加し続けてきました。でもネガティブな面を言うと、足し算“しか”できていないんです。アプリに色んな機能がどんどん増えていて、初めて見た人にとってわかりにくい状態になっていると思います。

実際、この間テレビで『Anyca』が紹介されて新規のお客さまがたくさん入ってきてくれたんですが、行動ログを解析してみると、どう使えばいいか迷っているような挙動をしていました。だから、今後は機能の取捨選択をして、すっきりさせていきたいです。

動いているコードを消すのって、エンジニアからするとコードを追加するのと同じくらい大変です。それに、事業を伸ばさなければいけないフェーズで機能を減らすのは、すごく勇気がいります。
でも、短期的な成長ではなく長期的な成長を実現するために、やらなくてはいけないと考えている部分ですね。



必要なマインドは、好奇心・課題意識・素直な頑固さ

ーープロダクトオーナーに必要なマインドって何だと思いますか?

好奇心だと思います。「この人はなんでこんな行動をしたんだろう」「なんでこの数値がこう動いたんだろう」と考えられること。色々な事象に興味を持てるということ。もちろんサービスやお客さまを見るという意味でもそうですし、サービスって社会の中で動いているので外的な要素を知ることも重要だと思います。

サービス改善のデータ分析をするとしても、自発的にやる調査って面白いんですけど、誰かにやらされている調査ってつまらないんです。だから、それを面白い作業に変えるには自分なりに課題意識を持って考えることが重要になります。

それから、素直だけど頑固なこと。サービスに実装する機能を決めるうえで、外部からの意見を取り入れることは当然必要です。だから、他の人たちの声を上手に聞けないのは良くありません。

でも、外的要因で自分の考えがぶれてしまうのも、それはそれでダメで。サービスの機能追加って「人気が出ると思って実装したのに外れた」というケースの方が多いので、そういう状態が続くと他のサービスが実装している機能などが気になっちゃうんですよ。だから、きちんと信念を持って、自分が選んだ方針を貫くことも重要です。

両方の面が必要ですね。軌道修正できる素直さと、やると決めたら突き進む頑固さと。

馬場 光

『Anyca』を最初に使ったときの感動を、お客さまに伝えたい

ーー馬場さんが『Anyca』の改善に“フルスイング”できるのって、どうしてなんでしょうか?

僕、そもそも『Anyca』のファーストユーザーだったんです。自分の車を『Anyca』に出して、初めてドライバーがついてくれた感動をまだ覚えています。その後、その人がリピーターになってくれて、最終的に僕の車を買ってくれたんです。すごく感動しました。

ーー他でもない馬場さん自身が『Anyca』を通して温かい体験をしたのですね。

そうですね。自分自身が利用者として体験した『Anyca』の良さをお客さまにも届けたいという想いがあります。それに、ビジネスモデルとしても絶対に成立すると考えている。その両方を信じられているから、この仕事にのめりこめているのかもしれないですね。

もちろんまだまだ道半ばですし、『Anyca』に足りていない部分もたくさんあるんですけど、より良いサービスにしていきたい気持ちは強く持っています。

ーー最終的に『Anyca』をどれくらいの規模まで育てたいですか?

『Anyca』の自動車登録台数って2018年3月現在で4,000台くらいなんですけど、今後まだまだ伸ばしていきたいです。日本にある自家用車の台数は約6,000万台と言われていて、その1%を『Anyca』に登録してもらえたとすれば60万台近くもあります。そうなれば、日本のどこに住んでいても便利に使える状態になり得ると思っていて。

目指しているのは「家の徒歩5分圏内に『Anyca』で色々な車が登録されている」という世界。珍しい車とか高級車だけではなく、気軽に乗れる軽自動車などさまざまなラインナップがあって、ドライバーがニーズに合わせて車を選べるようにしたい。それが実現できるように、今後も『Anyca』を育てていきたいです。

(フルスイング記事を元にしています https://fullswing.dena.com/anyca-baba/