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國松 健治 國松 健治
INTERVIEW

オートモーティブ事業本部
モビリティ
インテリジェンス
開発部

國松 健治
Kenji Kunimatsu

地図制作のスペシャリストがDeNAへ。
「地図の役割は大きく変化する」と語る、その意味とは

自動運転などの技術において、「地図」はきわめて重要な要素となります。工事などによる道路の変化や、標識ではわからない道路の特性などを常にキャッチし、リアルタイムで更新していく技術が求められるからです。

DeNAオートモーティブ事業本部には、そんな地図のスペシャリストがいます。オートモーティブ事業本部モビリティインテリジェンス開発部の國松健治(くにまつ・けんじ)氏です。彼は2000年代初頭から、大手自動車メーカーの系列会社で地図に関わってきた人。そして今は、DeNAオートモーティブに身を置いています。國松氏にこれまでのキャリアや、今後のオート業界における「地図の可能性」を聞きました。

國松 健治

2005年から高精度地図作りの研究開発を実施

ーー國松さんは、一貫して自動車業界向けの地図制作を行われてきたのでしょうか。

はい。2001年から2018年まで、大手自動車メーカーの系列となる地図制作会社に勤務していました。主にカーナビ用の地図データベースを作る会社です。

ーー具体的にどんなことをやられたのでしょうか。

多種多様な事をやっていましたが、大きく2つに分かれます。

1つは将来に向けた要素技術の研究開発です。例えばDeNAではタクシー配車アプリの「MOV」を開発していますが、このシステムでは、実際に走っているタクシーから走行状態をプローブデータとして取得し、タクシー配車の最適化や、目的地までの経路の最適化といった開発をしています。このようなプローブデータの活用については、2003年頃から他の会社や大学と組んで経路探索や地図制作に活かせないかといった研究開発を行なっていました。

もう1つは次世代の地図制作の為の開発やシステム構築と、そのシステムを使った地図の制作です。例えば、現在では自動運転向けの高精度地図の開発が盛んに行われていますが、2005年頃から、高精度地図制作の開発から地図制作までを行なっていました。

ーー高精度地図の開発とは、具体的にどのようなものでしょうか。

自動運転の為の地図にはカーナビゲーションよりも高精度、高鮮度な情報が求められ、これを高精度地図(HD Maps)と呼んでいます。現在、この高精度地図を作るためには、MMS(Mobile Mapping System)が多く使われています。

MMSとは、高性能なGPSやカメラ、LiDARといった計測用の機材を車に搭載し、実際に道路を走りながらデータを集める仕組みです。当初はMMSが市販されておらず、2004年頃から他の会社と協力して自前のMMSを開発していました。また、取得したデータから効率よく高精度地図を作る為には、専用のシステムが必要になりますので、そういったシステムの開発も行なっていました。

ーー当時制作されていた高精度地図はどういった地図だったのでしょうか。

何種類かの高精度地図を制作していましたが、最初は全国の高速道路と都市部の一般道において、白線や停止線の形状や属性を写し取ったものでした。また高速道路の開通などによって道路に変更があった場合、変更内容をカーナビに配信していました。
他にも、例えば道路のカーブのきつさ(曲率)を持った高精度地図なども手掛けました。

國松 健治

「地図」が大きく変わる中で、自分も違う環境へ

ーー前職に17年ほど勤められていましたが、なぜDeNAに移ったのでしょうか。

この業界の地図制作は劇的に変わってきています。これまでよりずっと精緻な情報、大量の情報が必要になるため、それを計測するMMSはもちろん、データを分析して地図に落とし込むAIの技術、さらには大量のプローブデータをさばくサーバー環境、クラウドサービスの活用が求められるなど、急速な変化が起きています。

その中で、自分自身も今までの環境ではなく、違う環境や仲間とともに新しいステージの地図制作に挑戦したかったんです。DeNAはIT企業ですから、AIやクラウドに関する知見に長けています。AIのエンジニアは豊富ですし、ビッグデータの解析もゲームなどのスキルを生かして進めている。その点で、自分自身も今までとは違った形での地図制作にチャレンジできると思いました。

ーー変化が大きい今だからこそ、自分も違う環境に身を置いてみたかったと。地図の分野は、それほど大きな変化の局面を迎えているのでしょうか。

大きな変化の局面を迎えていることは間違いないですね。これまでの地図は高精度ではありましたが静的(Static)な情報でした。ところが自動運転の時代になれば、常に最新の地図である事が求められますし、動的(Dynamic)な情報も求められる事になります。動的な情報の例としては、渋滞情報や、信号機の現示情報、工事情報などが挙げられます。今後地図には、動的な情報を含む空間情報が求められる事になってくるはずです。

國松 健治

新しいアイデアが実用化され、交通課題を解消するために

ーー今はどのようなポジションについているのでしょうか。

モビリティインテリジェンス開発部(MI開発部)で、地図や信号情報などの空間情報の収集、解析、配信に関する企画、開発のマネジメントを行っています。DeNAでは先述の「MOV」や自動運転バスの「ロボットシャトル」、カーシェアリングの「エニカ」など、さまざまなサービスを開発していますが、MI開発部はそれら全サービスを横断して、オートモーティブ事業本部に必要な技術を開発する部署です。

ーーその部署で空間情報に関わられているということですね。どのようなことを行っていく予定ですか。

具体的なことは言えないのですが、先ほど話したように、次世代のモビリティにおいて空間情報は極めて重要になります。しかし、求められるクオリティを満たすものを作るには、現状では、かなりのコストがかかってしまうという問題があります。例えば、高精度地図を作るためには、高性能な機材を使う必要がありますし、現在の道路状況を把握する為には、リアルタイムにプローブデータを収集、解析、配信できるよう、クラウドや通信環境を用意する必要があります。

コストがかさむとサービスの実用化は遠のき、それでは社会の交通課題の解決は難しくなってしまいます。

ですから、各サービスで必要になる空間情報を、要求を満たしながら、いかに効率よく、かつ安価に収集、解析、配信する仕組みを用意する事が目標になります。

ーーなるほど。そういった点でのチャレンジをしていくということですね。

はい。特に進化の早い分野なので、スピーディにやらなければいけないと思っています。その点でDeNAは、社内に各領域のスペシャリストがおり、また多彩なパートナ企業がいる為、非常に素早く開発ができています。

ーーお話を聞く中で、地図の新しいステージにチャレンジされていると感じました。

そうだと思います。だからこそ、働いている人にとって地図の知識はそこまで必要ないかもしれません。私はずっとこの業界にいましたが、他のメンバーは地図の知識なしでスタートした人もいます。それより大切なのは、新しいことをやろうと思えること、前向きなことですね。

普通に業務をこなすのではなく、自分で新しくいアイデアを出したり、尖ったことをやろうと考えたり。与えられた目標にプラスアルファを作ろうとする人は向いているかもしれません。地図を始め、オートモーティブはいろいろなものをイチから立ち上げる分野なので、新しいアイデアを持つ人が必要です。そして、そのアイデアがいつか具現化される可能性もある。その点でも面白い領域です。

取材日: 2018年9月11日