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惠良 和隆 惠良 和隆
INTERVIEW

オートモーティブ事業本部
モビリティ
インテリジェンス開発部

惠良 和隆
Kazutaka Era

ゲーム開発の中核を担ったエンジニアがオートの世界へ。
「最高のアウトプット」にすべてを賭けるその姿勢

DeNAオートモーティブ事業本部には、ひとつひとつのサービスに特化したチームだけでなく、事業全体に関わる中枢的なシステムを開発するチームもあります。それがモビリティインテリジェンス開発部で、AIやITS(高度道路交通システム)、クラウドサービスなど、次世代交通を担う技術開発を行っています。

このモビリティインテリジェンス開発部に所属する一人、惠良和隆氏は、コンシューマーゲーム会社の役員を務め、DeNAに来てからもゲーム開発基盤の中核を担ってきましたが、みずからの意志でこの事業に移りました。ゲーム開発で活躍してきたエンジニアが、なぜ“交通”の領域にやってきたのか。インタビューから紐解きます。

惠良 和隆

市場のニーズや求められるものに合わせて作る、これこそがサービスの良さ

ーーもともとは、ゲーム分野でキャリアを積んできたと伺いました。

そうですね。大学院を出てから、コンシューマーゲームをつくる企業で11年半、ゲーム開発に従事しました。プレイステーション用のゲームなどが主でしたね。執行役員兼技術部部長として、開発環境の構築やフレームワーク開発など、ゲーム開発の下支えをしながら、複数のタイトル開発も行いました。

ーーそこからなぜDeNAに移ったのでしょうか。

当時のゲーム開発は、作品が完成したらプロジェクトが閉じるという、“売り切り”が主流でした。自分としては、長期的に運営するオンラインサービスに挑戦したいと思ったんです。そこで、2013年にDeNAへ入社しました。

ただ、当時はちょうどゲームがブラウザからスマホアプリへと切り替わる過渡期で、DeNAとしてもネイティブなアプリゲームをつくることが大きな命題になっていました。私はゲーム開発のバックグラウンドがあり、当然ながらキャリア的に親和性が高いので、ここでもゲーム事業に携わることとなったのです。

ーーDeNAのゲーム事業部では、どのようなことをやられたのでしょうか。

私がいたのは開発基盤部といって、ゲーム開発における共通の技術を扱うチームでした。作品ごとのシステムやアーキテクチャーのアドバイザーを務めるなど、単体のゲーム開発にも携わりましたが、主には内製ゲームエンジンの開発やリアルタイム通信サーバーの開発サポートなど、基盤づくりを行いました。最終的にはそのチームの部長として、マネジメント職を担当しました。

ーーゲームエンジニアとしてずっとやられてきた方が、なぜオートモーティブの領域に移ってきたのでしょうか。

異動した理由は、私が希望したからです。というのも、もともとDeNAに来た際にサービス志向の強いものをやりたいと思っていたので。もちろんゲームもサービスのひとつですが、こういったエンタメコンテンツの中核をなすのはゲームシナリオやキャラクターといった「データ」の部分です。コンテンツが大きくなるほど、データ開発の比重が大きくなり時間がかるため、どうしてもリリースサイクルが長くなります。
ただ、自分としてはお客さまの反応を見ながら、市場のニーズや求められるものに合わせてスピーディに新しいシステムを作りたかった。これこそがサービスの良さだと思っていて、そういう世界に身を置きたかったんです。

ーーその中でオートモーティブ事業部に魅力を感じて、異動を決意したと。

ちょうどその頃、自動運転などが非常に盛り上がっていて、自分としてもすごく興味がありました。もちろん、実用化されるのはまだ先だと感じていましたが、関連技術やバックエンドの積み上げは今のうちにやらないと、実用化のカウントダウンが始まってからでは間に合わないと思ったんです。

ゲーム事業部でのポジションを考えると異動は簡単ではありませんでしたが、今のうちに移らないと、大きなビジネスとして動き始めるタイミングで自分がキーパーソンとしていることはできないと。異動のタイミングとしてはギリギリに感じたんです。ゲーム事業部の人材も充実してきていたので、こちらへの異動を決断しました。

惠良 和隆

今は、DeNAオートの技術水準を引き上げるチームに

ーー今はどんな仕事をされているのでしょうか。

モビリティインテリジェンス開発部という、オートモーティブ領域が共通で必要とする技術について、事業部横断で開発する組織にいます。具体的にはAIやITS、クラウドサービスといったものですね。オートモーティブ事業部全体の技術水準を引き上げるチームともいえます。DeNAのオートモーティブ事業は、車やリソースを売るわけではなく、技術が財産です。だからこそ、その部分の優位性を作るこのチームはとても重要だと思っています。

特に私が関わっているのは、クラウドサービスです。DeNAのオートモーティブ事業では、AWSやGCPといったクラウドサービスを積極的に使っています。おそらく国内でも、これだけクラウド上のIoTサービスを使っているケースは業界的に珍しいと思うんですね。その中で、たとえばクラウドを使うにも、使い方次第でもう少しコストを削減できたり、より多くのデータをさばけたりします。

オート領域において、クラウドサービスの使い方は肝になる部分で、いくらAIの技術を使って素晴らしい機能を作ったとしても、それをサービスとして運用するためのシステムがなければユーザーには届きません。このシステムづくりにおいて、クラウドの使い方が鍵を握ります。たとえばタクシー配車アプリの「MOV」では、AWS IoTなどのサービスが使われていますが、その中身を改善することで現状でもかなりのコストダウンができました。

ーーちなみに、ゲーム開発で培った技術や知識は、オートモーティブでも活かせるのでしょうか。

ゲーム開発も領域が広いので、たとえばサーバーサイドの開発をずっとやってきた人ならオートモーティブでも十分に活かせると思います。特にこちらでは、サーバーサイドで求められる技術が多いので。

ただ、私個人の話だと、ゲーム事業の時とは違う技術が求められています。ゲーム時代は、ゲームを作るためのエンジンやツールづくりがメインで、扱う技術の多くはクライアントサイドでした。ですから、そのナレッジをそのまま生かすという雰囲気でもないんです。

でもそれは、この事業部に来る前から予想できていたことです。

ーーとすると、またイチから技術を学ぶことは承知の上で、オートモーティブを志望されたということでしょうか。

はい。そもそもゲーム事業にいた頃から、特定の技術にこだわったり、ある言語のスペシャリストでいたいと考えたりしたことはないんです。それよりも「どんなビジネスをしたいか」が大事で、そのために必要な技術があるならその都度頑張って身につければいいという考え方で。むしろ技術にこだわりすぎると、自分が変われなくなるかなと。

違う領域に入ったならば、違う技術をイチからキャッチアップして勉強し直すことが必要。最初からそう思っていたので、抵抗はありませんでした。

とはいえ、メンバーを巻き込む力や調整する力、古いアプリを動かしながら新しいアプリにアップデートしていく技術など、ゲーム時代の経験や技術が生きている面も当然ありますよ。

惠良 和隆

“無茶振り”を叶えることがエンジニアのやりがい

ーーちなみに、ゲーム事業ではマネジメント職でしたが、今はプレイヤーとしての立ち位置になっています。その変化についてはどう感じていますか。

うーん、特にこだわりはないですね(笑)。大事なのは、最終的なサービスの質が一番良くなることで、そのために私が必要な場所にいるべきだと思っています。そう考えた結果、ゲーム事業ではマネジメント職になっただけで。

オートモーティブではマネージャー経験者がたくさんいます。その中で、私がマネジメントをする必要はないと感じていて。それよりも、今は使われているテクノロジーにより精通して、適切な技術選定をしていく。その中で他社がやっていないこと、やれないことをプレイヤーの立場で生み出す方が優先だと考えています。

実は私がクラウド担当になったのも似ていて、モビリティインテリジェンス開発部のメンバーを見渡すと、AIや機械学習、地図やビッグデータのスペシャリストが豊富に揃っています。今から私が彼らと同じ分野をやるよりは、彼らの高い技術をきちんとサービスに落とし込む役目になる方が大事。ならば、クラウドに携わるべきだと思ったんです。

ーーちなみに、オートモーティブ事業の魅力はどんなところに感じますか。

すでにレッドオーシャンになりつつある領域ですが、裏を返せばそれだけ将来的なニーズが高く、多くの利用者を生むサービスになるかもしれないということ。移動は生活そのものですから、人々の生活に関われるのは大きなやりがいですね。

あとは、まだ形の決まっていない分野だけに、どんな技術が生まれるか想像がつきません。アイデアとしてまだ出ていないものが、未来を担う可能性があります。そのときに、実はエンジニアのやりがいって「こんなことしたい」とビジネスサイドに無茶振りされて、それをなんとか形にすることだと思うんです。

エンドユーザーに良いサービスを届けるのはもちろん、誰かの「こんなことしたい」というアイデアを叶えてあげる。そんなやりがいを達成できる領域だと感じています。

ーー確かに、まだまだこれから新しい技術やアイデアが出てきそうですね。

だからこそ、特定の技術やプログラム言語にこだわりがなく、いろんなことをやってみたい人がオートモーティブに向いていると思います。今使われている技術が、2、3年後も同じように使われているか分からない領域ですから。変化にうまくアジャストしたり、その時の最新技術をキャッチアップして自分の武器にできる人がいいですね。それが、ベストなアウトプットにつながるはずです。

取材日: 2018年9月5日