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長谷 歴 長谷 歴
INTERVIEW

オートモーティブ事業本部
モビリティ
インテリジェンス
開発部 部長

長谷 歴
Reki Hase

モビリティサービス領域の技術専門家集団「モビリティインテリジェンス開発部」。
そのリーダーが語る、チームの役割と意義

DeNAオートモーティブ事業本部には、各サービスに携わるチームとともに、全サービスを横断して、交通の発展に欠かせない技術を開発・研究するモビリティインテリジェンス開発部があります。

そのモビリティインテリジェンス開発部のリーダーを務めるのが、DeNA オートモーティブ事業本部 モビリティインテリジェンス開発部部長の長谷歴氏。彼は、変化の激しいオートモーティブ業界で競争優位をつくり、少しでも早く交通課題を解決するために「このチームはきわめて重要」と語ります。長谷氏のキャリアとともに、モビリティインテリジェンス開発部に懸ける思いを聞きました

長谷 歴

次に来るのは自動運転。「ならそれを仕事にしよう」

ーー長谷さんは2018年5月にDeNAに入社したと聞きました。

そうですね。それまでに3社ほど経験してきました。1社目はちょうどインターネットが広まってきた時期で、銀行関連や公共のITシステムなど、大規模開発を担当して。2社目では、ITコンサルティングのベンチャー企業に入り、さまざまなお客さまの支援を行いました。

その後、ポータルサイトを運営するIT系の事業会社に転職しました。主力サービスは医療向けポータルサイトで、医療関係者に薬の情報などを伝えるものでした。サーバーサイドエンジニアとして関わり、新規サービスの立ち上げ、エンジニアのマネジメント、分析の仕組み作りなどを行いました。

ーーそこからオートモーティブ事業に来られたということは、異分野からの挑戦ですね。

はい。きっかけはいくつかあるのですが、もともとテクノロジーが大好きだったことが大きいです。前職でもクラウドサービスがちょうど登場した時期で、そこに関わるのが楽しかったのですし、ここ10年を見ても、スマホが世の中を一変させました。それを踏まえながら、他のエンジニアと「この後来るテクノロジーは何だろう」と話すとき、よく私は自動運転を挙げていて。

ちょうどその時期に、DeNAがオートモーティブ事業を始めたという話を聞いて、自分の中でそこに携わりたいという考えが生まれてきました。「自動運転が時代をつくる」と思っているなら、「どうしてそれを仕事にしないんだろう」と。単純に聞こえるかもしれませんが(笑)。

もちろん、事前に業界動向や技術的な部分もかなり細かく調べたのですが、知れば知るほど楽しそうに感じました。まだ携わっている人は少ないですし、今のタイミングでやってみたいと思ったんです。

ーーエンジニアとしての不安はなかったですか。

技術職として採用されたなら、自信はなかったと思います。私よりスキルも経験も長けた人がいるでしょうし、DeNAに入った今でもそれは実感しています。ただ、私はマネージャー職の採用で、そこは自分のこれまでのキャリアやスキルを活かせると思いました。

ーーということは、これまでもマネージャー職を経験されてきたのでしょうか。

はい。前職ではサーバーサイドエンジニアをやる中で、徐々にマネージャーのポジションとなりました。DeNAオートモーティブも、組織が急激に大きくなる中、マネジメントできる人材を求めていたんです。自分はマネジメントが得意だと思うので、そこで力になれると感じました。

あともうひとつ、前職の会社とDeNAオートモーティブの環境が似ていたことも転職を後押ししました。

ーーどういうことでしょうか。

前職は、医療系という硬い分野でありつつ、Webサービスならではのスピーディさも合わせ持っていました。この事業部も似ていて、オートモーティブという歴史が長く、しかも多くの人の生活に関わる交通インフラに携わりながら、一方でWeb業界特有の軽いフットワークもあります。

加えて、DeNAは自動車メーカーをはじめ、交通領域に登場する膨大なプレーヤーの蓄積してきた、例えば安全に対する姿勢や、長期的な視点で基礎技術を積み重ね、それを実用化までもっていく戦略性などをとても尊重しており、その一方でメンバーはスピード感をもって自分のやりたいことにどんどんチャレンジしながら成長している雰囲気を感じました。その温度感も前職に似ていると思いましたし、自分の好きな環境でした。

長谷 歴

特定のサービスに属さず、事業部全体を横断する「モビリティインテリジェンス開発部」

ーー現在はモビリティインテリジェンス開発部のマネジメントを行っているとのことですが、どんなチームなのでしょうか。

ひと言で言えば「モビリティサービス領域の技術専門家集団」です。オートモーティブ事業部ではいくつかのサービスを進めていますが、モビリティインテリジェンス開発部は特定のサービスに属さず、事業部全体を横断で見ながら、オートモーティブの基盤となる技術やプロダクトを開発していきます。

たとえば、タクシー配車アプリ『タクベル』で必要な技術を開発することもありますし、いくつものサービスに使う共通技術を開発することもあります。それ以外にも、研究論文をはじめ、外部からの情報収集を行って、それを各サービスメンバーと共有したり、実際にサービスのシステムに落とし込んだりということもあるでしょう。

ーーサービスから独立した開発組織ということですが、R&Dとは違うのでしょうか。

R&Dとは異なります。R&Dは、どちらかというとかなり先の未来で求められる技術を研究するイメージですよね。モビリティインテリジェンス開発部はもっと近い未来、すでに技術の輪郭が見えているような、あるいはニーズが高まっているような技術を作るイメージです。

現時点で特に力を入れているのは、地図と経路生成に関する分野です。未来の自動運転はもちろん、直近でもタクシー配車アプリや経路探索といったシーンで、地図の技術は非常に重要になります。といっても、地図そのものを作るわけではありません。それは専業ベンダーさんが行っており、私たちはその地図をよりサービスに活用できる仕組みを作ることを目指しています。

ーーたとえばどんなことでしょうか。

一例として、地図は日々生き物のように変化します。新しい道路ができたり、イベントや工事によりその日使えない道路が出たり。そういった情報を、ナビゲーションシステムなどのモビリティサービスにリアルタイムで反映させたいのです。

また地図には、実際に存在していても掲載されていない情報があります。たとえばタクシー乗り場の情報などはまだ少ない。これらが十分に表示され、より使いやすく、お客さまの課題解決につながる地図にしなければなりません。

タクシー配車アプリにおいても、たとえばお客さまがタクシーを呼んだとき、そのエリアのどこならタクシーを配車しやすいか、地図から読み取れると便利ですよね。実際、路上駐車の多い場所ではタクシーを停めにくいので、事前に配車場所をナビゲートできれば、お客さまにとっても、タクシー運転手に取っても便利になります。これらはアイデアベースの話ですが、地図の仕組みを進化させて、こういったことを可能にしたいのです。

これは今のオートモーティブ業界で求められている技術であり、モビリティサービス全体で必要となるもの。モビリティインテリジェンス開発部はそういったコア技術の開発を行っています

長谷 歴

AI、クラウド、ITS。モビリティサービス領域における3つのコア技術を扱う

ーーオートモーティブにおける最先端の技術開発を担っているんですね。

そうですね。さらにモビリティインテリジェンス開発部を詳しく説明すると、AI&データサイエンス、クラウドサービス、ITS(高度道路交通システム)という3つの技術要素をベースに開発や研究をしています。そもそも先ほど話した地図などの技術は、この3つの要素が複雑に絡みながら成立しています。

すこし具体的になりますが、タクベルではお客様がタクシーを呼んだ際に、あと何分で到着できるかを過不足なく伝えることがとても大切です。そのため精度の高い到着時間の予測が必要になりますが、精度をあげるためには実際に走っているタクシーのプローブデータ(GPSの情報)をリアルタイムに収集することが欠かせません。そして、膨大な数の車両からデータを秒単位で収集するためには、クラウドを徹底活用したスケーラブルなデータ基盤やリアルタイムバッチ基盤が必要になってきます。こうやって集めたデータ対して、地図情報との突き合わせ手法や、AIを用いた予測アルゴリズムを効率的に組み合わせることでようやくお客様にとっての価値である、精度の高い到着予想時刻を提供することができます。

ですので、AI&データサイエンス、クラウド、ITSの3つの技術領域を縦横無尽に行き来して課題を解決できるチームが、様々な交通課題の解決には必要だと考えています。2つをカバーするチームは多いと思いますが、3つにまたがったチームはとても贅沢で(笑)、元々AIとクラウドに強い会社であったからこそ可能なチーム構成だと思っています。3つの技術領域が細かく連携して、オートモーティブ全体に必要なコア技術を作ったり、さまざまなサービスのプロダクトを作ったり。このチーム体制は良いと感じています。

ーーなぜモビリティインテリジェンス開発部のような組織ができたのでしょうか。

サービスを開発・運営するエンジニアは、どうしてもサービスそのものの成長に力を注がないといけません。一方で、上述した3つの技術領域は凄まじいスピードで進化しており、それをキャッチアップし、適切に活用できるかどうかで、最終的に実現できる価値に大きな差がつきます。ただ、進化が早いからこそ、サービス開発・運用のかたわらで情報をキャッチアップするのはエンジニアに大きな負荷がかかります。

そこでモビリティインテリジェンス開発部を立ち上げて、この領域のキャッチアップから開発まで専門で行う集団を作ることにしたのです。

ーーそして、先ほど話したように決して遠い未来ではなく、近いうちに使う技術を開発していくわけですね。

はい。こういった技術を話すと自動運転を想像しがちですが、有人運転で使う今の地図にもまだ進化の余地は多分にあります。タクシーの例を多く出しているのも、私たちのミッションである「交通不全の解消」を達成する上では、身近で、かつどこへでもいける交通手段であるタクシーの有効活用が重要になります。タクシーは、バスなどのようにルートが決まっていないため、どんなエリア・状況にも対応した高度な地図が必要。そういう点でも、モビリティインテリジェンス開発部の存在意義があるはずです。

ーーかしこまりました。では最後に、この業界に移られて、どんなところにやりがいを感じられていますか。

リアルな手応えを感じられるところですね。Webサービスはどうしても画面の中で閉じてしまいがちですが、こちらは実際に車が動いたり、私たちのシステムが推奨したルートをタクシーが走ったり。エンジニアと話すと、よく「お客さまの顔が見えるとうれしい」という声が聞かれます。それは彼らがリアルな手応えを求めているから。オートモーティブはその点でやりがいを感じますね。

なので、自分のやったことをリアルな価値につなげたい人には向いていると思います。さらにDeNAは、フットワークが軽く新しいチャレンジへのハードルも低い。ゼロベースでどんどんチャレンジできるので、それを望む人には最適だと思います。

取材日: 2018年9月27日