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INTERVIEW

ハードウェアエンジニアの3人が語る、
DeNAオートモーティブならではのモノづくり文化

石川 貴夫/木村 尭海/髙野 勇介 石川 貴夫/木村 尭海/髙野 勇介
石川貴夫さん Takao Ishikawa

オートモーティブ事業本部スマートタクシーシステム開発部デバイスグループにてハードウェアエンジニアとしてMOVの開発に従事

木村尭海さん Takaumi Kimura

オートモーティブ事業本部スマートドライビング部システム開発グループにてAndroidエンジニアとしてDRIVE CHARTの開発に従事

髙野勇介さん Yusuke Takano

オートモーティブ事業本部スマートドライビング部システム開発グループにてAndroidエンジニアとしてDRIVE CHARTの開発に従事

DeNAオートモーティブは、ハードウェア開発が盛んであることも特徴のひとつです。たとえば次世代タクシー配車アプリ「MOV」では、タクシー車両に搭載するタブレットや、タクシーメーターなどの車両情報を吸い上げてインターネットへ送信するためのハードウェア機器を製作。また、AIによる運転映像の分析などから事故削減を支援する「DRIVE CHART」でも、車に搭載するドライブレコーダーの機能設計などを行っています。

そんなハードウェアの開発に携わるエンジニアは、DeNAで働く魅力や特徴をどう捉えているのでしょうか。今回、上に挙げたサービスを担う3人のハードウェアエンジニアが登場。彼らの言葉を通して、DeNAオートモーティブにおけるハードウェア開発の実像に迫ります。

サービスありきだからこそ、作るモチベーションが高くなる

ーー3人はキャリアもバラバラですし、前職からハードウェアに携わっている方もいれば、そうでない方もいると思います。そのキャリアを伺いながら、今までの職場との違いや変化などを教えてください。

石川:まずは僕からですかね(笑)。前職では、国内の自動車メーカーに向けたOEMのカーナビやオーディオ開発に携わっていました。今年3月にDeNAに来て、MOVの車載タブレットやタクシーメーターの情報を吸い上げるBLEロガーなどを開発するチームにいます。

ここに来て最初に衝撃を受けたのは、あるハードウェアをとても短い期間で制作したという話を聞いたときでした(笑)。前職では考えられなかったんです。なぜなら前職は、製品ができて市場に出るまで、すごく長いスパンなんですよね。またその中身も、メーカーが車を開発していく途中で「こんなものを作って欲しい」と要求書が送られてきて、私たちはその通りに製作します。

一方、DeNAではサービスありきでハードウェアを作るので、そのサービスに必要となればすごい早さで開発しますし、もっと言えば世の中が求めているから用意します。要求書が来たから作るのではなく、自分で要求書から考えるような。開発の動機や意義がこれまでと大きく変わりました。それが面白みになっています。

木村:同じことを私も感じています。製品を開発するとき、多くは製品化のメドが立って、技術的にも可能だと確信が持ててから開発のゴーサインが出ると思うんですけど、DeNAではある意味、出来るかどうかわからない段階でもチャレンジしていて。やっぱりそれはサービスありきだからこそで、世の中に必要なサービスがあり、そこに必要な製品だから、大胆にチャレンジできるのではないかと。そして、メンバー全員が「絶対達成させる」という目標意識を持って取り組む。そこがすごくいいところだと思うんです。

この特徴は、転職した時からずっと感じていますね。前職はメーカーでAndroidのスマホ開発などをしていて、2年前にこちらに来たんですが、そのときにDRIVE CHARTのチームに入りました。といっても、まだサービス開発を始めたばかりなのに「2年間でこのサービスを作る」と言われて。正直「2年はけっこう大変だな」と思ったんですよね(笑)。普通は研究開発期間があって製品化するのですが、ここはサービスローンチの目標スケジュールを先に決めて、そこから研究と開発を並行している。

石川:R&Dの概念がないというか。

木村:ですね。やはりそれは世の中に必要なサービスをつくろうとしているので、チャレンジングに出来るんでしょうね。

スタートアップとメーカー、両方の良いところを持つ組織

石川:高野さんは僕らと少し違って、メーカーに勤務した後、スタートアップを経てここに来ていますよね。その辺でどんな違いを感じますか?

高野:そうですね。僕は前々職で車載器を作るメーカーに勤めていて、スマホやアプリと車載器の連携機能を構築していました。そのあと、スタートアップを立ち上げてヘッドフォンの組込製品を作りつつ、アプリ連携なども行っていたんです。

2ヶ月前にDeNAにきてからはDRIVE CHARTの部署で、大きくは木村さんと近い仕事をしています。働いて感じるのは、スタートアップとメーカーそれぞれのいいところを両方持っていることです。

たとえばスタートアップは、ビジネスサイドと開発サイドの境界線があまりなく、みんな両方に携わって会話している。だから開発やビジネス展開のスピード感が出ますよね。DeNAオートモーティブは中規模な組織でありながら、同じ環境を再現してPDCAを回しているんですよね。

木村:確かにその面はありますよね。前職との違いでいうと「巻き込む人の数」が違うというか。たとえば今はAndroidやドライブレコーダーの開発がメインだけど、それだけではなく、お客さまに届ける際の設定やサーバー側の修正を一部手伝うなど、作業範囲も広い。やろうと思えばいくらでもできます(笑)

石川:メーカーはどうしても役割分担がはっきりしがちだけど、それはないかもしれません。

高野:一方で、メーカーの良さは色々なリソースがあることですよね。それはこの事業部も持っていて、たとえばDRIVE CHARTは画像認識にAIを活用していますが、その開発はDeNA全体のAIチームと連携している。社内のいろいろな力を活用できます。あるいは、作業内容によってはそこを切り出して外部機関に委ねることもできる。社内に色々な専門性を持つプロはいるし、かたや外部との連携も柔軟にできるのはメーカーっぽい強みですよね。

ここに来て感じた「エンジニアはお客様と話さないともったいない」

石川:あと僕がここに来て感じるのは、製品が完成してから、あるいはローンチしてからが本当のスタートというところですかね。やっぱりサービスありきなので、製品化した後のフィードバックや改善にすごく力を入れている。

高野:ウェブサービスでは、ローンチ後にフィードバックを受けて改善して……というサイクルが当たり前かもしれませんが、車関連のハードウェアはこれまでそれが難しく、出したら来年の新製品でフィードバックを反映するような、ゆったりしたサイクルでした。

でも今はIoTで車もオンラインでつながる時代です。その中では、車のハードウェアも出してからの細かな改善や進化が求められる時代になるはず。DeNAのノウハウは強みになるでしょうし、DRIVE CHARTがその先行モデルになればいいと僕も思いますね。

木村:ここに来てから、今までにない体験をするケースは多いですよね。私はDRIVE CHARTの実証実験中にそういうことがあって。DRIVE CHARTは、ローンチの前にタクシー会社や運送会社の協力を得て、実証実験をしたんですね。実際にこのサービスを搭載して、例年より事故が削減できるかどうかという。

その実証実験は、まだ開発段階の機材でやっているので、現場やお客さまの搭載する機器の修理や調整が必要でした。このとき、ビジネスサイドのメンバーだけでなく、エンジニアが出向いて修理したんですね。現場のお客さまに挨拶して、色々な話を直接聞きながら。

これって前職ではまずあり得なかったことで。実際にやってみるとすごく良い経験になりました。というのも、お客さまと向き合って話すと、お客さまが今何を考えているか、どんなものを求めているかがすごく鮮明になる。すると、開発の必要性やサービスの意義など、実際の作業の意味合いが深くなるんです。今は「開発者が現場に出向いてお客さまと話さないのはもったいない」と思うほどで。

石川:そういう経験で言うと、僕は入ってしばらくした頃、今のチームリーダーから唐突に「石川くん、プログラミングもやってみようか」と言われて。僕はプログラミングできないのですが、その人は「大丈夫!」と(笑)。それで1ヶ月勉強して何とかやったんです。こんな仕事の広がり方は、前職ではなかったですね。

ただ、実は今、新しいIoT機器を作っているのですが、そのプロトタイプ製品では当時学んだプログラミングが活用されていて。結局あの時の経験が自分の成長になっているんですよね。フランクに挑戦できる環境があるというのは非常にありがたいですね。

高野:僕が新鮮だったのは、DeNAのサービスに対する注目度の高さですかね。DRIVE CHARTの発表会では多くのメディアが詰めかけて。これだけの注目を集める経験はなかったので、すごく印象的でした。

ある勉強会を見て「DeNAのオートモーティブは信頼できる」

ーーちなみに3人は、DeNAとオートモーティブの組み合わせをどう感じましたか。異業種の企業だけに、不安などはなかったのかなと。

木村:私は2年前の入社なので、事業部が立ち上がってまだ2年ほどの段階。確かに未確定の部分は多かったですね。自分としても「DeNAにこんな事業部あるんだ」くらいの認識で。

ただ、話を聞くとその時点でDRIVE CHARTの構想ができていて、このサービスを作りたいと思いました。やはりその根底にあったのは「お客さまのためになるもの」や「社会のためになるもの」に携わりたいということ。確かに異業種でしたが、むしろウェブやゲーム業界の出身でフットワークの軽いDeNAなら「ためになるもの」への挑戦が柔軟にできると思って。

石川:それは僕も近いです。やはりお客さまが本当に求めているもの、誰かのためになるものを作りたいという思いが強くて。そんなときにこの事業部の話を聞く機会があり、「日本は課題先進国であり、それを解決しないといけない」と話していて。その使命感に惹かれたというか、こういう使命感を持ってものづくりができればと思いました。それでここに来たんです。

高野:僕は入社こそ最近ですが、DeNAのオートモーティブ事業は立ち上げ時からニュースなどでずっと見ていて。当時は「IT企業がオートモーティブやるのか」くらいの感想でしたけど、それから何年もやっているので本気なんだなと。

個人的に驚いたのは、僕自身学生時代にITS(高度道路交通システム)の研究に携わっており、ITSは安全運転支援や交通課題の解消を担う重要な技術だと思っているのですが、DeNAのオートモーティブ事業部では、ITSをテーマに、外部企業を招く勉強会を何度か主催していて。それを見つけたときに「ITSでこういうことをやっている企業はなかなかない」と。この領域への本気度を改めて感じましたし、不安はなかったですね。

ーーでは最後に、どんな人たちがこの事業部に向いていると思いますか。

石川:この事業部は、ある意味で一人一人の役割が割りふられていないというか、かなり自由度が高いです。だからこそ、自分で開発や計画の筋道を立てて進まないとダメですし、自立が必要です。自分が主体性を持って、どんどん何かをやれる人は向いているのではないでしょうか。自分の領域以外にも、自主的に情報をキャッチアップするのも大切です。

木村:たとえハードウェアの担当だとしても、それ以外の技術や担当者との関わりがたくさん出て来ますよね。だから、自分の領域や知識以外のことに積極的に取り組むとか、石川が言うように自分から動く人が理想。エンジニアサイドからお客さまに提案することも多いので。私はそれが楽しいですし、そう感じられる人が向いているかなと。

高野:あとは、資産やアセットが豊富にあるので、それをうまく使いたい人には向いていますよね。さっきも言いましたが、AIをはじめ、さまざまな領域のプロが社内にいるので。そしてこの会社には、社内のアセットをうまく利用しようとする文化もあります。ここは、スタートアップとは違うところかなと。

自分自身がスキルを身につけて自分で解決することも大事ですが、豊富なアセットを使って、うまく周りの人を活用することも重要。それができる組織でもあります。アセットを活用する力をつけたい人には向いているでしょうし、その経験は、自分のキャリアプランを長期的に考えた時にすごく重要ではないでしょうか。

取材日: 2019年7月25日