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デジタルサイネージ ジャパン2019レポート 〜タクシー配車アプリ「MOV」の車内広告に込められた工夫〜

6月12日〜14日にかけて、「デジタルサイネージ ジャパン2019」が行われました。デジタルサイネージとは、街中などで広告や動画を表示するディスプレイのこと。自宅以外のさまざまな場所で出会うOOH広告の一種であり、今後の成長が期待されています。

このイベントの講演に、DeNAオートモーティブ事業本部も参加。現在展開しているタクシー配車アプリ「MOV」では、提携タクシーの車内に広告を表示するタブレットを搭載しています。この事例から、デジタルOOH(DOOH)やデジタルサイネージ広告について考えました。

当日は、共同開発している株式会社ジーニーの方も登場。以下に、当日の内容をレポートします。

タブレット自体のメディア価値を上げて、広告に目が行くように

セッションは、ジーニー取締役の廣瀬氏を司会に、オートモーティブ事業本部の米山、ジーニーR&D本部部長の月澤氏が話し合う形で進行。前半では、MOVの車内タブレット広告「Premium Taxi Vison by DeNA」について、米山より概要を説明しました。

「今年2月から、車内にタブレットを搭載して動画広告を配信しています。東京・神奈川で約8000台に設置されており、今後はMOVの京阪神エリア拡大にともなって、このサービスも広げる予定です。地域拡大によって台数や広告面数が広がり、価値が高まるという好循環が生まれるのではないでしょうか。

特にこだわっているのは、ただ広告を流すだけの端末にしないこと。乗ったお客さまの注目度が上がらないからです。そこで共同通信のニュースや、レスキューナウの交通情報といったコンテンツを間に差し込み、タブレット自体のメディア価値を高めています。その結果、自然と広告にも目が行く設計にしています」

なお、MOVのタブレットは、専用に開発したオリジナルハードウェアとのこと。事業部のハードウェア責任者である米山は、その開発経緯も説明しました。

「市販のタブレットでは、この用途にぴったり当てはまるものが見つかりませんでした。そこで既成品をベースにカスタマイズしました。具体的には、ボタンなどのインターフェイス類やセンサーなどです。あくまでキオスク端末なので、お客さまがボタン操作をされないように音量ボタンや電源ボタンなどを取り除きました。またジャイロセンサーなどサイネージ用途には不要なセンサーを取り除くことでコストの削減も図っています。一方で、ディスプレイにアンチグレアコーティングをしたり、明るい液晶を採用するなどの改良を加えました」

実際にタブレットで流す広告の管理や配信システムについては、ジーニーが担当。同社は広告の自動売買や最適化など、アドテクノロジー事業を手掛けており、その知見が生かされているとのことでした。

リスクとコストを考え、広告は事前ダウンロードで配信

セッション後半は、MOVにおける具体的な広告配信の仕組みがテーマに。まずポイントに挙げられたのが、タクシーでDOOHを流す際の「通信」について。タクシーはつねに動いており、環境によっては通信状況が悪く、動画広告が止まるリスクも考えられます。この点について、米山がシステムの裏側を明かしました。

「広告はオンラインのストリーミング配信ではなく、あらかじめ端末にデータをダウンロードしています。リアルタイム通信だと途中で通信が途切れる可能性もありますし、この台数がつねに通信を続けるとコストが大きな問題になります。費用削減のためにも、あらかじめダウンロードしておく方式をとりました」

実際、MOVの車内タブレット広告は、1週間ごとの“期間売り”になっているとのこと。事前に出稿契約を結び、期間前に端末へデータをダウンロード。期間当日の0時から表示が始まるよう「ジーニーの方々とチューニングしながら進めています」と米山。ジーニーの月澤氏も「今後、回線が進化すればリアルタイムの通信に寄せていくでしょうが、現状はこちらの方が収益観点でもメリットが大きいです」と述べました。

さらに、月澤氏はエンジニアとして、広告の表示における工夫を説明しました。

「いかに広告をバランスよく適切に表示できるか、その点に力を入れています。タクシーは、乗客の平均乗車時間がおおむね決まっています。その中で、同じ契約の広告にはそれぞれ同じだけの露出や効果を返さなければなりません。この点から、時間当たりの広告表示回数に偏りが出ないよう力を入れました。自動でのバランス調整はもちろん、10分〜30分ごとの表示状況を見て、手動で調整できる機能も付いています」

今後は、「急な出稿要請にも対応できるなど、より柔軟なシステムにすることも視野に入れたい」と続けました。

米山からも、MOVのDOOH広告について、これからの展望を述べました。

「今後はタクシー広告ならではの表現や他社との差別化が重要になってきます。シンプルに広告を見せるのではなく、乗車したお客さまにとって『楽しい体験』『面白いコンテンツ』を追求していく。そこに広告を融合させて価値を高めていければと思います」

これらをもってセッションは終了。MOVの車内広告を通して、デジタルサイネージやDOOHのあり方を考える時間となりました。

DeNAオートモーティブでは、さまざまなイベントを通して、開発した技術や経験を発表していきます。ぜひこれからもチェックしてください。