FB

NEWS

TOPICS

第2回ITS Tech Studyレポート 〜AWS IoTをITS領域に活用した取り組みの最前線〜

車両などの移動体と情報通信し、渋滞の改善や移動を便利にするなど、社会課題の解決につながるITS(Intelligent Transport System)。「高度道路交通システム」とも呼ばれるこのシステムについて、情報交換を行うITS Tech Studyの2回目が6月8日に行われました。

今回のテーマは、クラウドサービスのAWS IoT をITS領域に活用した取り組みの紹介。アマゾンウェブサービスジャパンを会場に、同社、ソラコム、そしてDeNAの3社が、ITSとAWSを軸にした情報提供を行いました。以下にその様子をレポートします。

参加者には“基礎モデル”も公開。ITSでのAWSの使い方とは

最初に、アマゾンウェブサービスジャパン 技術統括本部 園田修平氏から「AWSが提供するIoTソリューションとITSにおける活用」というテーマで講演が行われました。

前半部分では、AWSが提供する各種IoTサービスを細かく説明。AWS IoT Coreをはじめとしたクラウド側のサービス、そしてデバイス側のサービスについても触れていきました。

その上で、これらがITSでどう活用されているか、園田氏から説明がありました。

「ITS領域では、自動運転やナビゲーション、走行車から集めたデータをリアルタイムで送受信するといったシステムにAWS IoT が活用されることが多いです。あるいは、車両の異常に対して機械学習を使いながら素早く検知するシステムなど。すでにお客さまが実際に運用するフェーズに入っています」

最後には、AWS IoTでITSを構築したい際に「簡単にできる基礎モデル」を公開。車両の走行ログ(プローブデータ)を蓄積するソリューションや、エラーを読み取って送る仕組みなどの基礎になり得るもので「数分で構築できる」と園田氏。「これを他社のサービスにつなげるなど、皆さんのユースケースに合わせて進化させていただきたい」と述べて、発表を終えました。

すでに使われているAWSの事例と、発展へ向けた考察

続いて登場したのは、ソラコム テクノロジー・エバンジェリストの松下享平 氏。「車両や人の位置を管理する『動態管理』の事例とIoTの始め方」をテーマに、動態管理にフォーカスを当てて、SORACOM を活用する企業の中から実際にサービスを具現化している事例を紹介しました。

「動態管理のサービス事例では、路線バスの運行案内や、豪雪地帯における除雪車の位置情報管理などがあります。IoTはモノとデバイス、それをつなぐネットワークの3つが必要ですが、それらすべてが今は低価格でそろう時代。ここで紹介した事例も、スモールスタートでサービスを開始して、改善しながら規模を拡大したものが多いです」

事例を紹介した後は、AWSの活用法に関する考察へ。今後、ITSが伸びる中で「車も搭載するソフトウェアをアップデートできる仕組みが必須になる」と松下氏。出荷後に機能やセキュリティを向上したり、走りながら要件を変えたりできるかがポイントになると話しました。

その中で、AWS Greengrassのようなデバイス側のサービスをどう使えば良いか提案。実際にコードの例を見せるなど、具体的な形で説明していきました。

ITSのカギとなる、ビッグデータをリアルタイムで処理する方法

最後に登壇したのは、DeNA オートモーティブ事業本部基幹システム開発部 (発表時: システム本部技術開発室)放地宏佳氏。「ITSを支える情報集約基盤アーキテクチャ」というテーマで、AWSを活用している次世代配車アプリ「タクベル」でのシステムアーキテクチャを説明しました。

「タクベルの情報集約基盤では、車両登録や認証認可、情報収集など、さまざまな機能が搭載されています。ITS領域としては、車両などの情報を収集して分析基盤に流す部分が重要であり、このアーキテクチャは『車両情報収集』、『分析情報収集』、それらをまとめる『分析システム統合』の3つから構成されます」

アーキテクチャには、AWSと併用してGCPも使われているとのこと。「AWSで収集した情報をGCPのシステムに渡している」と、放地氏はその特徴を述べました。

その後プレゼンでは、3つの構成要素について、それぞれ具体的なコードを見せながら工夫点を説明しました。

「『車両情報収集』では、ThingShadowの機能を有効活用することで、時間経過などから生まれた車両情報の“差分”だけでなく、そのときの車両の全ての状態を渡すことを可能にしています。そのため、分析環境において他の情報を補完する必要がありません。対して、クライアントからは差分だけ送信されるため通信量は抑えられます」

ITSではビッグデータを処理する必要がありますが、このような工夫でより利便性を上げているとのこと。また「分析システム統合部」でも「単発実行ではなくバッファリングすることで Lambda の総実行時間を大幅に減少。費用とリアルタイム性を考えて情報を送っています」と放地氏は話しました。

最後に、全体的な工夫点を紹介。「AWSなどは新しい機能が増え続けており、それらのメリットを逐一検証しながら使うことが大事。機能だけでなく費用削減の面でも役立つことが多いです」と説明。さらに“おまけ”として、AWSにおける放地氏の失敗談を披露し、和やかな雰囲気で終えました。

3者の発表を終えたあとは、参加者による懇親会へ。登壇者をふくめ、業界の動向から細かい技術的な話まで、最後まで熱を帯びた意見交換が行われました。なお、この日のプレゼン内容については、下記サイトに資料が公開されています。

第2回ITS Tech Studyサイト https://itstech.connpass.com/event/89068/