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DeNAが開発する次世代配車アプリ『タクベル』。その開発に込められた工夫とは

2018年2月15日に開催された「Developers Summit 2018」にて、弊社のオートモーティブ事業本部 基幹システム部 部長 小林 篤が講演いたしました。

当日は「次世代配車アプリ『タクベル』のシステムアーキテクチャー」をテーマに講演。その内容の一部を、ここでご紹介したいと思います。

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技術とサービスをつなぎ、エンドユーザーに届けたい

DeNAが開発中の次世代配車アプリ「タクベル」について、システムの設計や工夫を話す前に、小林から「DeNAが交通・自動車産業に参入した理由」を説明しました。

「交通分野は、今まさに変革を起こす時期に来ています。高齢化が進めば、買い物弱者や移動弱者が生まれ、同時にバスや電車、タクシーといった交通インフラのドライバー確保も困難となるでしょう。そういった社会課題を解決するために、交通サービスの統合プラットフォームが必要です。

ただし、現時点では自動運転システムや車両の技術は進んできたものの、それらとサービスをつなげるプラットフォームがまだありません。

私たちが目指すのは、自動運転などの新技術を交通サービスとつなぎ、エンドユーザーに届けていく。そのモビリティーサービスプロバイダーになることです。DeNAはインターネットカンパニーなので、今後の交通分野で必要となるインターネット+AIに強みがあります。また、色々な企業とのパートナーシップも、他事業を含めてノウハウを蓄積してきました。そして、ビジネスにつなげる事業化能力に長けています。

それらを生かして、技術とサービスをつなぐプラットフォームを作るのが目的です。

加えて重要なのは、世のため人のための事業であるということです。交通産業は公共性が高く、移動は全ての人に発生します。だからこそ、インターネットカンパニーとしてITやAIの技術で交通不全を乗り越え、交通の仕組みそのものをアップデートしていきたいと考えています」

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今いるプレイヤーの方々と手を組んで世の中を変える

その後、講演の内容はタクベルにシフト。タクベルは、ユーザーとタクシーを結ぶ配車アプリですが、その最大の特徴を「特定のタクシー事業者に依存しないこと」と小林は話しました。

「私たちが作っているのは、特定の会社に依存せず、加盟する会社のタクシーを全て利用できるアプリです。利便性のある配車アプリを提供するには、既存のタクシー会社と多く連携することが不可欠で、今活躍するプレイヤーの方々とともに世の中を変えていく事が大事。その狙いが込められています」

続いて、タクベルの全体的なアーキテクチャが示されました。タクシー側にはドライバー専用のアプリがあり、DeNAの運用するサーバーシステムとつながっています。さらに、そのサーバーシステムとタクシー利用者側のアプリが連携。利用者がアプリでタクシーの配車を依頼すると、サーバーを通してドライバーに通知される仕組みです。

具体的なシステム開発の話では、まずタクベルに使われる「ITSアルゴリズム」について触れました。ITSは「高度道路交通システム」と呼ばれるものですが、そこにアルゴリズムを駆使することで、配車の効率化、需要供給予測、ひいてはユーザー体験を高める工夫をしているとのことです。

「たとえば車両から得たGPS情報を地図上にそのまま表示すると、きちんと道路上に表示されないなど、小さな揺らぎが出ます。それをアルゴリズムにより、道路上にプロットされるよう補正しています」

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今と数十年先、その両方を見ながらの開発

タクベルでは、ハードウェアの開発も行っています。小林は「ソフト開発中心のDeNAで、まさかハード開発に携わるとは思わなかった」と述べ、「自分たちでハンダ付けしたこともあった」と笑顔を見せました。実際にどんなハードウェアを作っているのか、以下のように説明しました。

「タクベルのサーバーシステムは、車両に搭載されたタクシーメーターと連携する必要があります。『賃走』や『空車』などのステータス、目的地に着いた際の料金などのデータを吸い上げたいからです。そこで、タクシーメーターとシリアルに接続するハードウェアを作りました。

タクシーメーターは10年ほど前から使われているものも多く、しかも多種類なので、互換性の高さを重視して開発しました。今後は、ドライバーが使うタブレットや決済機などとも連携し、“ハブ”のような役割にしたいです」

さらに、小林はサーバーシステムについても言及。システムでは「AWSとGCPという、2つのパブリッククラウドをハイブリッドで使用している」と言い、その意図を語りました。

「オートモーティブ事業は、プロジェクト期間が長いのが特徴です。自動運転が一般化されるのも2030年や2040年と言われるほどで、その場その場の開発では何十年後に使い物になりません。今の最新テクノロジーに追いつきながら、常にブラッシュアップして新しい技術を回すサイクルが必要です。

さらに、タクベルはドライバー用と利用者用のアプリがあり、間にサーバーシステムを介すなど、かなり複雑な設計です。だからこそ、よりシンプルな構造にする必要があります。それらを考えると、オンプレではなくフルマネージドのパブリッククラウドを全面活用すべき。そうして、状況や時代の中で絶えずアップデートするのがベストです」

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現地に足を運び、エンジニアが“考え感じる”機会を作る

具体的なアーキテクチャの説明を終えると、小林は「DeNAオートモーティブが理想とするエンジニアの姿勢」について話しました。

「新しい技術を吸収することが何より大事で、そのためにいろんなカンファレンスに参加しています。昨年もグーグルやAWSのイベントにエンジニアたちと出席しました。生の情報に触れるのはとても大事で、現場でないと感じられないことがあります。そのために“足”を使って現地に行くようにしています。

色々な場所に出向くのは、現地のサービスを体験する目的もあります。アメリカのウーバーや中国の交通プラットフォーム大手であるDiDiなどが、ひとつひとつの問題に対してどんな解決法を選んでいるか。もちろん、その解決法を日本にそのまま持ってきてもマッチしないことが多いので、日本ではどんな形がベストか。そういったことを考える機会になります」

最後に、小林は以下の言葉で講演をしめました。

「交通分野は、まさに発展途上の熱い領域です。今しかチャレンジできないステージにあると言えるでしょう。まさに開拓の時期であり、新しい技術を学んで、それを使い日本を変えて行く気持ちが必要です。そんな仲間たちと一緒に、日本の交通を変えていきたいです」

今後もDeNAオートモーティブでは、このような講演を通して、交通不全の解決に臨む現状や開発の裏側をお伝えしていきます。