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左向 貴代 左向 貴代
INTERVIEW

オートモーティブ事業本部
アソシエイトディレクター

左向 貴代
Kiyo Sakou

自動車メーカー出身者が語る、
立場が変わったからこそ創り出せる「交通の未来」

交通システムの課題に取り組むDeNAオートモーティブ事業本部。2015年からこの分野に参入していますが、実はその事業本部の中には、自動車メーカー出身の社員も在籍しています。

オートモーティブ事業本部 アソシエイトディレクターの左向 貴代(さこう・きよ)さんは、自動車メーカーに約12年務めたのち、DeNAにジョインした社員。彼女は、今働くこの環境を「チャンスがたくさんある場所」と話します。彼女は今の事業本部に、どんなチャンスとやりがいを見出しているのでしょうか。詳しく聞きました。

K.S

自動車メーカーからのチャレンジ。今の仕事はその「延長」

ーー左向さんは自動車メーカー出身なんですよね。

はい。国内のメーカーに12年ほど在籍して、2017年1月にDeNAのオートモーティブ事業本部へやってきました。オートモーティブという分野や、私が今携わっている職務は、その前職の延長と言えます。

ーー延長というのは?

1990年代の終わりころから、国内の各自動車メーカーは「テレマティクス」、今でいう「コネクテッドカー」と呼ばれる領域に力を入れ始めていました。私が前職で携わっていたのもまさにその領域で、2004年から関わっていたんです。

たとえば、カーナビは安全のために、走行中は画面の切り替えができないよう設計されています。一例として、サイドブレーキを引かないと画面操作ができないなどが挙げられますよね。その中で、たとえば走行中でも安全にナビ操作ができるよう、オペレーターとの会話機能を持たせて、会話の中でオペレーターに位置情報を送信してもらい、目的地のルート設定ができる仕組みなどを提供していました。

私はそういった領域に関わっていたので、当時やっていたことの延長を今のDeNAでやっているイメージです。仕事の種類としてはあまり変わってないですね。

ーー左向さんはエンジニアではなくビジネスサイドですよね。具体的には、どんな立ち回りだったんでしょうか。

言葉で説明するのはすごく難しいのですが(笑)、新たな技術開発に関わる戦略を考えたり、開発の現場と営業の人たちをつないだり。あるいは、新しい技術のプレスリリースも書きましたし、開発を加速させるためにエンジニアのモチベーションを高めることにも注力していました。

たとえば前職の自動車メーカーでは、技術広報という立場で新しい技術を市場に普及させたり、お客様の反応を見て開発にフィードバックしたりするためのイベントを企画しましたね。当時の上司から「技術広報という“出口”を語る人間は、“入口”の技術戦略もわかっていないとだめだ」と言われ、技術戦略にも関わるようになりました。技術の価値を伝達したり、戦略を考えたり、業務範囲は多岐に渡りました。

なので、本当に多くの部署や人と関わる場面が多く、様々な調整が必要な役割だったと思います。そのなかで、意識していたイメージは「その人が関われば何となくうまくいく」という存在でした。この立ち位置は、DeNAでも同じようにイメージしながら仕事をしています。

K.S

外に出て、自動車メーカーと連携しながらゴールに向かう

ーーところで、なぜ自動車メーカーからDeNAに転職を?

テレマティクスやコネクテッドカーに携わって感じたのは、自動車メーカーでこの領域をマネタイズさせるのは非常に難しいということです。車のデータを取得する仕組みは作れますし、それをサービス化する技術もあります。でも、新車を販売するという大きな目的がある中で、こういった付加サービスを普及させるのは難しく、そこから収益を得るのもハードルが高いと感じました。

この領域を7、8年やった頃に思ったのは、自動車メーカーがデータを抱えるのでなく、外の人がデータにアクセスしながらサービスを作って、最終的に自動車メーカーと連携してお客様に届ければいいということ。そういった技術戦略も描き始めたのですが、当時の自動車メーカーにとっては、データを外に出すということも難しい部分でした。

もうひとつ思ったことは、テレマティクスのようなサービスを本当に欲しているのは、乗用車のお客様よりも、商用車のお客様ではないかということです。まさにタクシーや宅配といった分野ですね。

ですが、自動車メーカーの優先順位として、どうしても先進技術を商用車から採用するのは難しいんですね。商用車は車両コストを下げないと買っていただけないですし、乗用車の方が販売ボリュームは大きいですから、どうしても先進技術はそちらに入っていきます。

そういった背景がある中で、この分野に関わる自分が自動車メーカーの中に身を置くのがいいのか、それとも外に出て、自動車メーカーと連携してゴールに向かう方がいいのか。そのどちらを選択すべきか考え始めました。そして、DeNAのオートモーティブにやってきました。

ーーテレマティクスやコネクテッドカーという領域は同じですが、メーカーの外に出て、メーカーと手を取り合う形を選んだわけですね。

自動車メーカーは車を売ることが主体なので、どうしてもこの領域のサービスがコストセンターから抜けきれない部分もありました。自動車メーカーの中で、テレマティクスやコネクテッドカーのサービスにより利益を出すシナリオは描けるかもしれませんが、それを実現するにはハードルが高いんですね。そこのジレンマはありました。

K.S

コネクテッドカー分野をやりたい人には、刺激の多い環境

ーーDeNAに来て、その辺りには違いを感じますか。

そうですね。こちらではサービスのマネタイズや新たなサービス開発といったところをどんどん推進していけるので、私のように自動車業界の中でコネクテッドカー分野をやっていた人からすると刺激が多いのかなと感じます。

あとは、商用車を中心に、コネクテッドカーサービスを本当に必要とするところに手を打とうとしているのは心地良いですね。DeNAは無理に手を広げず、ニーズの強いところにアプローチしているので、そういった部分のやりがいを感じます。

とはいえ、実際に私が業務で関わっているのは、現在進行中のプロジェクトではないんです。その一歩先で何ができるかということを見据えている立場なんですね。

ーー今開発しているものより、さらに未来を考えているということですか?

はい。現在進んでいるプロジェクトは人の生活を便利にしたり豊かにしたりという視点で、機能的に進化させる部分が強いのですが、もう一つその先があると思っています。この業界にはずっと一歩先の未来を作ってきた人たちがいて、彼らはまだまだものすごいアイデアを持っているんです。

たとえば、自動運転は最近盛り上がってきたイメージですよね。私がいた自動車メーカーでも2010年代に実験車を出し始めました。ただ、メーカーのエンジニアに聞くと、実は1980年代から自動運転の研究をしていたと…。これには本当にびっくりしたんです。

自動車業界にはそういった未来のアイデアを持っている人がたくさんいるので、私は彼らが持っている新しい技術情報やアイデアを引き出す場を作っています。キーストーンというか「触媒」のようなイメージで、プロフェッショナルな人を有機的につないで、物事を前に進める役といえるかもしれません。

さらには、そういったアイデアをどう次のステップにつなげるか、そのタイミングはいつにするのか。これらを考えて、形になるようドライブしていくのが仕事です。コーディネーターに近いかもしれません。



メーカーの経験は、必ずここで役立つピースになる

ーー今言ったような仕事において、やはり自動車メーカーにいた経験や知識が生きているということでしょうか。

そうですね。自動車業界のことについては、オートモーティブ事業本部の中でも他のメンバーより知っていることが多くあると思います。特に私はコネクテッドカーの分野に10年以上も携わってきたので、この領域に関わるプレーヤーをたくさん知っているということが今役に立っています。

たとえコネクテッドカーに関わっていなくても、おそらく自動車メーカーにいた人なら、どんなキャリアや経験でも役立つピースが何かしらここにはあるのではないでしょうか。私のような職種に限らず、エンジニアやほかの職種など、全てに言えると思いますね。

ですから、自動車メーカー出身者がもっと増えてもいいと感じています。

ーーそれはどんなところからですか?

エンジニアを例にとっても、自動車のエンジニアリングを経験していたり、自動車そのものの仕組みや、開発のプロセスなどがわかっている人がいた方がチームとしては強くなると思います。システムと車両のつなぎといったところでも、車のことを深く理解しているエンジニアには、すごくチャンスがあるはずです。

エンジニアリングだけでなく、ビジネスサイドのつなぎ役でもいいでしょう。自動車メーカー出身の人は、自分がそこで培ったいろいろな強みを使って活躍できる場があると思います。

ーー自動車メーカーにいた頃とは違うやりがいも感じますか?

先ほども言ったように、コネクテッドカーやテレマティクスの分野は、どうしても自動車メーカーですとコストとの兼ね合いが求められます。もしかすると、メーカーでそこに携わっている人は、もっと積極的な開発をしたいかもしれません。私もそこにジレンマを感じていましたし、その点でのやりがいはすごくあると思います。

何より、自動車業界は今までものづくりが中心でしたが、そうではない力が必要になっています。業界の構造も、自動運転や先進技術の出現で変わってきていて、今まで自動車業界と遠かった企業が参入していますよね。DeNAのような新規参入の企業がオートモーティブで盛り上がると、自動車業界全体が盛り上がっていくはずです。

エンジニアでも文系の人でも、車の新たな分野に挑戦したい人にとっては、主体性を持って活躍できるフィールドがここにあるので、一つの選択肢として良いのかなと思います。しかも、車はあくまで人の生活や街の中の“パーツ”として捉えて、自動車の製造とは違った広い視点でのチャレンジができます。そこにも魅力があるのかもしれません。

ーーそういった魅力を肌で感じているということですよね。

特にこの会社はみんなが耳を傾けてくれます。違う部署の人と話していても“異なる世界”に興味を持ってくれる人がすごく多いです。みんな何かしらの連携を探しているんですよね。その風土も魅力に感じています。

メーカーなどの場合、どうしてもキャリアアップの中で現場から離れてマネジメント業務に就くのが一般的ですが、実は開発やサービスの最前線に居続けたい人も少なからずいるのだと思いますね。マネージャークラスの人が「エンジニアとして原点回帰したい」というケースもよく聞いてきました。

そういった人たちが飛び込んで来れるところなのではないでしょうか。今までは自動車業界の中だけで回っていたものが、その外に出て連携する選択肢も出ていると。そういうものが実際に求められていますから。

もしも自分の中にやりたいことが明確にあって、自分ごとで何事にも取り組みたい人にとっては、すごくいい環境ではないでしょうか。私は、そう感じています。

   

取材日:2017年11月20日