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INTERVIEW

オートモーティブ事業本部
基幹システム開発部・部長

Name: A.K

自動運転サービスの開発は「今しかできないトライ」
基幹システム開発部長が語る“エンジニアがチャレンジする価値”とは

2015年から参入したオートモーティブ事業で、複数のプロジェクトに跨り開発を行っているのが、基幹システム開発部です。同部長であるA.Kは、もともとオープンプラットフォーム事業本部のシステム開発部部長を務め、2017年3月から現職を兼務。複数のプロジェクトマネジメントを行っています。

オートモーティブ事業が作ろうとしているサービスは、誰も見たことのない未来。そうしたサービスに携わることは「今しかできないトライ」であり、「新しいチャレンジをどんどんしてほしい」とA.Kさんは言います。開発を統括する部長という立場から、自動運転サービスの未来、そしてそれに携わるエンジニアの未来は、どのように見えているのでしょうか?

ak

リアルテック領域だからこそ大切な“肌感”

――いまのA.Kさんの仕事を教えてください。

自分のやっている仕事を分解していくと、アライアンス、技術選択、組織ビルディング、ヒューマンマネジメントと、おおまかに4つに分かれます。あともう少し細かい部分に入っていくと、バックオフィス系や採用など…まぁとにかくなんでも屋です(笑)もう最近はコード書く以外はなんでもやってますね(笑)

1つ目の「アライアンス」。オートモーティブ事業は自社だけで完結することはほとんどないので、アライアンスを含むパートナーが必ずいます。そのパートナーと会話をして関係値を作る。たとえば日産プロジェクトであれば、どういう方向性で物事を進めていくか、お互いの役割分担はどうしますか、と道筋を作っていきます。複数のステークホルダーをうまく調整して、やりたいことを実現していく。

次の「技術選択」というのは、プロジェクトが立ち上がっていくときに、どういうコンセプトでどの技術を選択していくのかを決めていくことです。具体的な開発、詳細な仕様を作りますという段階では、僕がディレクションしたものをベースに現場で考えてくれて、それをディスカッションして最終的にフィックスしていく、という流れです。

3点目は「組織ビルディング」です。オートモーティブ事業本部はまだ組織がすべてきれいに立ち上がっていません。僕が来たときは、エンジニアリングを専門とする組織もなかったんです。ぜんぶ事業部付けで、フラットな組織になっていたんですが、プロジェクトを横串にみて情報共有する体制もなかった。

たとえば、ロボネコヤマトで作っているシステムと、日産プロジェクトで作ろうとしているシステムは、技術的に似たような部分があるのに、全然情報共有されていなかった。なので、それをつないで組織を作って、情報共有の目線を合わせて。そもそも複数の事業やサービスを同時に立ち上げようとしているオートモーティブ事業本部においてどのような組織体制が理想なのか、というのも経営層と話をして、実行しています。

4点目の「ヒューマンマネジメント」は、事業本部にメンバー全員が直でつながっているので、「自分の上長って誰?」「相談事は誰にすればいいか」というふうになりがちで、そのメンバーの目標設定やWillを確認したり、そういう日々のコミュニケーションをおこなっています。

――幅広いですね(笑)いま現在フォーカスされている部分で言うと?

ヒューマンマネジメントですかね。オートモーティブは、現場がリアルなロケーションなんですよね。ソーシャルゲ―ムとかWebシステムって、PCの中が現場で、そこで完結するじゃないですか。でもオートモーティブに関しては、実際のロケーションがあって、そこでリアルな車が走っている。だから、エンジニアを連れ出して、そこに行こうよと。

実際にいま藤沢でロボネコカーが走っているんですけど、僕はロボネコヤマトがリリースする前に行ってみて、自分で荷物を受け取る体験をしてみたりとか。そういう実際のリアルな体験をみんなにもやってもらいたいという話をしていて。

これまではパソコンの中で済んでしまっていたので、本当は行きたいと思っているんだけど、自分が行って良いかすら分からないんですよね。行くことによる価値はなんとなく感じていると思うんですが、自分が現場に行くことで、学びがあってパフォーマンスが上がるということを経験していないので、明言できないんですよ。なので、そこを経験させてあげるということですね。

――コスト度外視で…というか。

そうですね。特に日産のプロジェクトであれば、実際リアルな車に乗ることは全体のユーザー体験の“ど真ん中”なんですが、そのど真ん中のところの肌感がないまま机上で作っていると、実際にしたらいまいち…ということになりがちなので、まずそこを知ろうという。

経験しているからこそアイデアが生まれたり、車とシステムをつなぐときに「リスクになりそうだ」という肌感が生まれたりする。それを知ってもらうことの“価値”って計測できないんですよね。目に見えるコストを払って、“目に見えないバリュー”を取っていくというのは、ある一定の裁量を持っている人が押してあげないといけないなと思っています。

ak

「僕、一回も失敗させたことないんで(笑)」

――技術選択のところでは、“これはナイスジャッジだった”ということってありますか?

インフラの運用をすべてAWSやGCPのようなマネージドサービスに寄せて、開発者のマインドを可能な限り“ものづくり”に振り切る技術運用を取り入れたことですかね。

もともとDeNAって開発力・インフラ力が強い会社なんですが、サービスが複数立ち上がってくるとどんどん運用コストが高くなってくる。高い開発力・インフラ力をもっと新しいモノづくりに活かしたい、それを「なんとかしないと」とずっと思っていて、振り切ったのが別の事業本部で新しいプロジェクトを立ち上げるときに、全部GCPでやるという意思決定をしたんです。

みんな若干不安があって「ドラスティックすぎないか」という話もあったんですが、このタイミングで中途半端になってしまうとメンテナンスが大変になってくるので、失敗してもいいからやろうという話をして、推進したら見事ハマって。その経験があるので、この事業本部でも安心してそういう方針にしています。いまではGoogleさんたちとの関係値もできたし、AWSさんとの関係値もできたので、最先端の情報をもらえたりしますよ。

とにかく「みんな新しいチャレンジをどんどんしてほしい」という思想ありき。「あるべき」「こうしたい」ということを実現するために、とり得る手段をきっちりと取る。“中途半端にならない”というのを意識しています。

――現場のエンジニアとしてもチャレンジングで、スキルアップにつながる環境なんですね。

そうだと思います。現場で開発しているメンバーのほうが、最新のトレンドを含め、特定の領域に関してアンテナをかなり張っていると思うんですよ。現場のほうが、基本的に正しい情報を持っていますと。であればエンジニアからの意見は、「トライしたら」という後押ししかしないので。「失敗しても良いよ」と言って現場にやってもらってます。でも、僕、一回も失敗させたことないんで(笑)

前出の「全部GCPでやる」と決めたときも、たぶん「これ上手くいかないな」と何人かは思ってたと思うんですよ。そのテクノロジーを使って開発した人はゼロ。Golang使って開発したんですが、その前例はDeNAにはなかった。データベースも、MySQLとかリレーショナルデータベース以外を使って開発した経験をしている人ゼロ。そういう状況でも、ちゃんとリリースできたので。絶対勝てる、絶対うまく行くという自信はありましたよ。

――活躍できるエンジニアの人物イメージはありますか?

非常に幅広いと思います。僕、ものづくりで結構意識しているのは「手触り感が出る」「触っていて気持ちいい」「違和感がない」というのは非常に重要だと思っていて、モバイルゲーム作っていましたとか、iOS、Androidでフロント側作ってました、という人は、そこをきちんと考えて作れるところは活きると思います。

あとは、例えばタクシーメーターからデータを取得するデバイスも造るので、ハードウェア専門の方のキャリアも生きるでしょうし、カーナビを作っていた方とかも、どのように車をナビゲーションすれば、最適なのかといった肌感があるので、過去の経験を活かせる。

サーバーのほうで見ると、将来自動運転車がそこらじゅうを走ってますとなると、それを動かすシステムもすごく大量のトラフィックを捌かないといけなくなるはずなんですよ。いまからそのことを見越して、どういう設計にしていくのかを考えるのってすごく重要なので、例えば大規模トラフィックをさばくサービスの開発経験も活きますよね。

あとは、OEMメーカー出身の方。ロボットシャトルというプロジェクトがあるんですが、365日ずっと運行しているサービスを目指しています。そのときに、たとえばどのくらいの耐久性があれば良いのかというのを、車のスペックを見た上でリクワイアメントとしてまとめてアライアンス先に提出できる。そうした知見も活きると思います。

ak

時代の転換点に関わる仕事の“価値”とは?

――エンジニアの方以外に、こういう人が活躍できるというイメージはありますか?

ディレクター的な人も重要だと思っています。ビジネスとエンジニアのなかだちをして、チームをドライブしたり、進むべき方向性を噛み砕いたりする。なにをつくればいいのか、こういう方向性で作っていこうという、エンジニアをフォローしてチームプレイをやっていくための人材ですね。

ウェブディレクターとか、ゲームのディレクターをやってた人でも全然いいと思うんです。あとは、ビジネスの人でもモノ作るのが好きな人や、企画に関わっていた人。モノがあって、ゴールがあるときに、その真ん中の仕事をするのが企画ですよね。エンジニア側とも、ビジネス側とも話さなければならないので、ものづくりの一員として情熱を持って考えられる人だと、なお良いと思います。

やりがいはありますし、いままで誰もやっていなかったことのチャレンジになってくるので、自分の経験プラスαでできる、自分自身をストレッチさせていくことになるので、そこにモチベーション持ってやっていける人というのは、すごく良いと思いますね。

僕自身もある重要なアライアンス案件を担当するまでは、ほとんど社内のステークホルダーとの関わり合いしか経験がなかったんですよ。アライアンス案件を担当してよく分かったのは、相手の利害関係も意識して、自分たちの意図をきちんと説明して、一緒にこういうものを作ろうというゴールを明確にするのが大事だということですね。そんなに難しくないと思います。僕もサポートしますし、サポートする環境になっているので。

――A.Kさんが考える“DeNAがオートモーティブ事業をやる意味”というのは何でしょう?

自動車の業界って、サービス面も含めて“昔ながら”というところがあって。システム開発の方法だったり、お作法だったり、そうした慣習はもちろん重要なのですが、それだけだとそこから抜けた発想ってなかなか出てきにくいんじゃないかと思うんですよね。「自分たちも変わらないと」という思いはたぶんあるんですが、そういうことをフットワーク軽くできる組織ではなくなっていたりする。

なので、いままでのナレッジを使いつつ、新しい方向へ持っていくという部分は、DeNAが入るからこそできると思います。第三者だからこそ、いい意味で“ぶち壊して”いくことができる。

僕は、DeNAの強みって、全体をトータルマネジメントして、既存の価値を最大限に引き出すことができるところだと思っているんです。UXや新しい仕掛けといったユーザー側の“体験”だけじゃなくて、バックエンドのシステム開発、ハードウェアからソフトウェアまで、思考の柔軟性もあって、最近のトレンドも追えている。その総合力だと。

だから、ちゃんとしたパートナーシップがあって、お互いのリスペクトがある前提で、「これできてないですよね?」というのも遠慮なく言いますよ(笑)DeNAが大切にしている考え方で人に向かうのではなく、「コト(仕事)に向かう」というのがあるんですが、お互い目指したいものがあったときに、片方だけが頑張っても仕方ない。なので、うまく働きかけをして、一体感を出して物を作っていって、自社だけでなく、すべてを成果としてうまく形にしていく。泥臭く一緒に巻き込んでやっていくようなところは、他の会社と違うところなのかもしれません。

――生活に密着したインフラの未来に関われる、エンジニアやディレクターにとっての魅力とは?

自動車って、我々の普段の生活に近いじゃないですか。“どういうものがあったらいいのか”というのはイメージしやすいんですよ。なので、いままでネットサービスしか経験がなくても、そんなに未知の領域で、どんなことやっているか想像もつかないみたいな感じではない。普段から経験してますよ、その延長線上で先に行きましょうよ、という話でしかないので、身構える必要もまったくないと思います。

いま、自動運転領域でこんなに戦略的に、様々なレイヤーを掴みに投資を行っている企業は、国内・国外を問わず、DeNAをおいて他にない。自動運転の未来が来たときに、自分たちが作ったサービスやシステムがベースになって、社会・交通インフラが動いていくことになると思います。そういう仕事は“時代の転換点”じゃないと生まれない。今だからこそできる、今しかできない新しいトライだと思いますね。