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MEMBERS

E.S
INTERVIEW

システム&デザイン本部
AIシステム部
AI研究開発グループ

Name: E.S

未来の交通システムを支える人とユーザー、両方を幸せにするために。
AIエンジニアは、最新技術と交通サービスをつないでいく

「インターネット×AI」によって、日本の交通システムにイノベーションを起こしたい。そんな思いから始まったオートモーティブ事業には、AIによる課題解決を担う社員が関わっています。システム&デザイン本部AIシステム部 AI研究開発グループのE.Sさんも、2017年1月からこの事業に参画してきました。

タクシーの配車アプリ「タクベル」や、新たな物流サービス「ロボネコヤマト」など、すでに開始しているプロジェクトに携わってきたE.Sさん。AIと交通システムの融合は「ユーザー体験を大きく変え、サービス提供者のビジネスも向上させる」と未来を見据えます。彼はこの事業にどう関わり、どんなやりがいを感じているのか。E.Sさんに話を聞きました。

E.S

移動時間の予測を向上させるのは、この事業の「肝」

ーーE.Sさんがオートモーティブ事業で行われている業務はどんなものでしょうか。

この事業の中で私が関わっているのは、FMS(フリートマネジメントシステム)の領域です。FMSとは、広義でいうと、複数の車両を管理して、目的地に動かす際のナビゲーションをしたり、運行の見守りをしたりするシステムのことです。

わかりやすい例として、カーナビの移動時間予測やルートの算出といったものが挙げられます。そのような機能は、宅配サービスを行う物流会社やタクシー会社なども使っていて、交通システムを土台にしたサービスでは欠かせない技術といえます。

ーーそういったFMSの領域で、E.Sさんは具体的にどういったことをやっているのですか。

DeNAは、ヤマト運輸さんとともに自動運転社会を見据えた次世代配送サービス「ロボネコヤマト」の実用実験を始めています。この中でもFMSは使われており、私は機械学習などを活用しながら、FMSの開発や改善を行なっています。

たとえば、あるお客様がAというお店で商品を注文して、それをBという場所まで届けて欲しいとき、AとBの2地点間における移動時間を予測する必要があります。それがないと配送スケジュールを立てられませんから。さらに、ロボネコヤマトは10分ごとに受け取り時間を指定できるようになっており、その時間から遅れてしまえばお客様に迷惑がかかります。そこで、移動時間予測にAIのモデルが使われています。

ーー物流などの交通を使ったサービスでは、かなり大事な部分ですよね。

そうですね。移動時間予測は本当に“肝”の部分だと思っています。サービスに限らず、人はどんな移動をするにも時間を知りたいですし、移動の間は全ての行動が制限されます。もしその移動時間予測が正確になれば、誰もがムダな時間や、遅れないために早めに行くといった“バッファ”を取る必要がなくなりますよね。

ロボネコヤマトでも、10分ごとに受け取り時間を指定できますが、その時間に間に合うよう、現状はバッファとなる待機時間をあらかじめ設けてスケジューリングしています。でも予測が正確になれば、そのバッファは最小限になりますし、10分ごとといわずさらにピンポイントに時間を指定できるかもしれません。アプリで好きな時にタップすると一定の時間後に配送してくれるなど、柔軟なサービスが可能になるでしょう。

また、物流会社としても、確実に移動時間を読めればより効率の良い配送ができ、スケジュールも立てやすくなります。物流業界で働く人たちの働き方や労働環境もよくなりますよね。私たちはそこも担っていると考えています。

E.S

可能性のある業界だからこそ「尖った開発をしないといけない」

ーーオートモーティブ事業にAIや機械学習の技術が活用されるケースとして、他にも何かあるのでしょうか。

はい。ロボネコヤマトの配送車がお客様の指定した場所に行った時、どこかに駐車する必要があります。その際の駐車場所は、今のところ人間が判断していますが、それをDeep Learningの技術を用いて、自動で認識する取り組みを始めています。

たとえば家の前などの動画を撮って、駐車すべき場所に目印となるラインを引いてあげる。その動画を、見本となる教師データとしてたくさん与えていって、だんだんと駐車する場所を自動で判断するようにしたいんですね。今は、そういった教師データを集めている段階です。

ーー教師データを集めて精度を上げていくというプロセスは、先ほどの移動時間予測でも同じですか?

そうですね。実際の車が走った時間が教師データになるので、より多くのデータを集めていく必要があります。データが多く集まれば、それをもとに渋滞時の所要時間が細かく立てられたり、事前に渋滞を予測して避けられたりするようにもなります。

データをどう扱うかは、オートモーティブ事業でかなり重要なポイントで、とにかく大量のデータが入ってくるので、それをリアルタイムで活用しなければいけません。ただ、そこはWebサービスやゲームなど、大量のデータをさばくことが多いDeNAにとって、むしろ得意な領域。この業界での強みかと思います。

一方で、私たちは既存のメーカーさんに比べて、交通関連のデータ蓄積がまだ圧倒的に少ない状況です。その中でどうやって自分たちが価値を作っていくか考えなければいけません。対メーカーさんということではなく、まったく異業種のDeNAがこの業界でどう貢献できるか。そのためには、“尖らないといけない”と日々思うんですよね。

ーー“尖らないといけない”とは?

オートモーティブは、まだ何も形が決まっていない分野ですし、いろんな技術領域が関われる可能性があります。すごく広い市場ですよね。となれば、あれもこれも手をつけるのではなく、捨てなければいけないものもあります。さらに、他のメーカーも投資して技術を磨いている中で、丸く開発しても最先端にはなりません。そこでいかに尖れるかが大切であり、エンジニアにとっての楽しさだと感じています。

開発をするにも、何十年先だけ見ていてはダメなんです。たとえば実証実験があるなら、その時点である程度は成果の出るシステムを採用しつつ、さらに何十年先の長期プランに合致するものを選択していかなければならない。足元と遥か遠くを同時に見ているようなイメージで、そういった事業に携われる機会は貴重ですよね。

E.S

システムをつなぐ“第三者”になれることのメリット

ーーE.Sさん自身は、オートモーティブ事業部に所属しているわけではなく、AIシステム部からこの事業に参戦している形ですよね。

はい。AIシステム部は、DeNAの全サービスに横断する部署で、メンバーごとさまざまな事業に入っています。私は、その部署からオートモーティブ事業に携わっている形です。

なお、オートモーティブ事業部に所属するメンバーにも、自分と似た動きをするエンジニアがいます。といっても、AIや機械学習にどっぷり浸かる人だけではなく、それらの基本的な知識をベースにして、どうプロダクトに生かすかを考える役割の人もいますね。AIのスペシャリストばかりではなく、知識の濃淡はバラバラです。

ーー決してAIや機械学習を専門領域とする人ばかりではないと。

そうですね。AIや機械学習をがっつり使って改善するエンジニアだけでなく、ある程度その知識を持っている人、前に多少かじった人も活躍できる環境です。実際、オートモーティブで重要になるのは、機械学習のシステムをサービスに組み込む作業です。

自分で新たなモデルをつくるというより、新しいモデルを今動いているシステムへスムーズに組み込んで行くような。ですから、機械学習のモデルを別のシステムやサービスそのものにブリッジするのが重要な業務です。

ーーそうなると、活躍できる人材は意外と幅広いかもしれませんね。

オートモーティブの事業やプロダクトは、例えば機械学習のシステムがあったとしても、それをビジネスに落とし込める人がいて初めて成立するんですよね。なので、AIや機械学習の研究的な業務だけでなく、どうサービスに生かすかというところの人材も必要なんです。

そもそも、DeNAがオートモーティブに関わる大きな魅力は、車両管理からサービスの提供まで、エンドトゥエンドですべてに関われることだと思っています。

ーーどんな意味でしょうか。

この分野はこれまで、それぞれのサービスが閉じていたと感じています。たとえば物流なら、移動時間予測のようなナビゲーションシステムを作る人たちと、スケジュールを立てる荷物管理の人たちが分かれていて、システムが縦割りになっていました。そして、それらをつなぐ存在がいませんでした。

DeNAがオートモーティブに参入する意味はそこにあって、私たちが入ることで、各々閉じていた別のシステムを連携させて、エンドトゥエンドのつながりを持たせられます。システムとして進化させるには、そういった“第三者”が入ってうまくつなぎこまないといけません。

ーーそこに、DeNAとしての役割があると。

はい。そういった形で私たちが貢献できれば、もっとオートモーティブの分野は進化が早まるでしょうし、メーカーさんからユーザーまで、すべての人が幸せになるシステムが生まれると信じています。

そういった意味で、機械学習やそのシステムを進化させるだけでなく、どうサービスに生かすか、それによりどう交通課題を解決していくか。そういったブリッジを担うのも、僕らの大切な役目だと考えています。むしろ、そういった力こそ、今後さらに求められるかもしれません。